焼けた靴を履くシンデレラ

久し振りに夢を見た。
幼い頃の夢だ。今は顔も忘れてしまった両親が私を見つめて可哀想、可哀想と言って泣く夢、私が不良品だとわかったときの夢だ。
ただ私を見つめ泣き続ける両親に唾でも吐きかけてやろうと思ったところで目が覚めた。
嗚呼、足が痛い。

瞼を開ければ天蓋付きのベッドに寝かされていた。
豪華だけれど下品ではない調度品の家具たちが並んだその部屋は薄暗く蝋燭の光だけが揺らめいた。

何故私は此処にいるのだろう?確か私は道を聞かれそうになってそして倒れた。
それからの記憶はない。

なにか不気味ではあるけどこのままこの部屋にいても仕方がないだろうと思い燭台を片手に部屋を出ることにした。

どうやらここは屋敷らしい。廊下を歩くとひんやりとした冷気と床の冷たさが擦りむいた足の裏の痛みを少しましにさせた。

しばらく歩いてみたけれど人影どころか明かりすら見当たらない。もしかして誰もいないのだろうか。

そう思い始めたとき遠くから高い靴音が聞こえた。
何処からかだんだんと近づいてくる靴音。

「貴様は、誰だ。」

すぐ後ろで男の声がした。意識を失う前とはまた違う人の声。

首筋に冷たいものを当てられ思わず喉が鳴る。

「あ、私は、」

後ろの人を刺激しないよう、首に当てられたモノが私を傷付けないよう、ゆっくり後ろを向く。

「お前、は。DIO様の…。」

後ろに立っていたのは髪の長い男の人だった。
彼は超絶箱入り娘の私が見ても変だと思うような、よくわからない服装をしていた。
いや、もしかしたら流行っているのかもしれない。
男は何故だか知らないが手に持っていた冷たいものを私の首から降ろすと少し考え込んでから、

「少し待っていろ。此処から動くな。」

とだけ言って走り去っていった。









初音ミク/椿の花


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