「…そうだね。近いうち、行ってみるよ」
ボクがチャンピオンを退いて、イッシュ地方を旅して帰ってきてから。本格的…とはまだまだ言いがたいけど、おやじがやろうとしていることに目を向ける時間が増えた。最も…かなこちゃんとジョウト地方へ行っているときから、そういう話は出ていたけど。
「まあ、おまえさんのことだ。素直に仕事だけで帰ってくるはずもなかろう」
高笑いしているおやじは相変わらず憎たらしい…けど、ホウエンのあの一件から、やっと立ち直ったらしく、最近は勢力的に動いているようだから。ボクも、何かはしなくちゃいけないな…そう思っているんだ。
「かなこちゃんを幸せにするのが…、おまえさんの役目だろう。式には参加できぬが、気持ちだけ送っておくとしよう」
「うん…ありがとう、おやじ」
アローラ地方での結婚式が迫ってきた。緊張はするけど、段取りはしっかりとできている。かなこちゃん用のドレスも用意した。ほとんど身内でやるものだから、そんなに派手さはないけども。
「一生に一度の事だけど、ダイゴさんと式を挙げることには変わりないもん!シンプルな形でいいと思うよ?」
彼女はそう言っていた。それよりもアローラ地方に生息するポケモンに会うのが楽しみ…だなんて、かなこちゃんらしい。珍しく熱を出したというミクリの代わりにボクは、セキエイ高原に飛んだ。