ヒロイン:XY主人公
※「メインディッシュ」の続き
「ごちそうさまでした!」
「どういたしまして」
どのくらい長居したのだろうか。あれからほとんど会話という会話を交わすことはなかったが、この部屋にいることに違和感を感じなくなるくらいまではゆっくりしていたと思う。さぁて帰ろうかと思ったが、こんな機会はまずない。そう思って、こう質問してみた。
「ねぇズミさん」
「何でしょう」
「ズミさんは、あたしのこと、どう思ってるんですか?」
唐突な質問だったからなのか、ズミの細い目が大きく開かれた。それにちょっとだけ嬉しくなると、さらに続けた。
「どうなんですか?前から、気になってたんです」
「気になる?そうですね……」
考え込むようにそっと目を伏せた。その姿もまた魅力的で、こんな人とつき合えたらいいのに、などと心の中で思う。
「……」
「そういう貴女はどうなんですか?かなこさん」
「……えっ」
そうきたか。唐突な質問にどう答えようか、あたふたしていると。
「初めてお会いしたときから…、わたしは貴女に惹かれていましたけどね」
……っ!!その言葉にハッと顔を上げると、すぐ側では美しい瞳が真っすぐに自分を見つめていた。
「ズミ……さん……」
「聞かせてください、貴女の心を」
「あ……、あたしも………っん!」
逃がさない。まるでそう言われているかのように深い深い口づけ。それはズミの内に秘めたる熱い想いを、余すことなくかなこに注ぎ込むかのよう。クラリ目眩がする感覚を覚えてぎゅっと服の裾を掴むも、
「頼まれても、やめてあげませんけどね」
悪戯に微笑む様は王子様のように美しかった。この先、ずっと一緒にいたい。そう思わせてくれる温かな温もりだった。