メインディッシュ
ヒロイン:XY主人公
※「水の香りに誘われて」の続き的なもの

「わぁ!ズミさんの料理最高!」

着くなり休憩室へと案内され、ズミ自慢のフルコースを提供される。まず自分で作ることもなければ、普段お目にかかることもない豪華な料理の数々に、目を輝かせながらも口はパクパクと動く。

「そんなに慌てずとも、なくなることはありませんが」
「そうなんですけど、お腹空いちゃって。それに、こんなに美味しいなら、毎日でも作ってもらいたいくらい!」

きっと顔はニヤけているに違いない。だが、いくら意中の相手を前にしても、そんなことはお構いなし。

「……ふふ」
「え?何か可笑しいですか?」
「いえ。バトルのときとはまるで違う表情をされていたので」

そう言うズミもまた、いつもと違って笑みを浮かべていた。何となくクールで、卒がなくて、近寄りがたい人。初めはそう思っていたからだ。だが、彼のバトルに対する情熱は本物で、料理のウデがいいことも噂には聞いていた。本業が忙しいのだろうかバトルシャトーにはほとんど顔を出さないが、四天王に挑戦しに来れば必ず相手として君臨している。

「そう言うズミさんこそ、何だか嬉しそう」

まだ子供とも呼べる年齢の自分よりずっと大人で、ミステリアス。なのに時折見せる悪戯っ子な表情に気づいてしまってからは…、目が離せない存在となっていた。

「貴女が料理通だとは思ってはいませんが、とても美味しそうに召し上がるので」
「ふふ、変なズミさん!」

この、何の変哲もない時間が心地よい。普段バトルしていては味わえない感情をしばし楽しんだ。


bkm
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