11
*幼なじみ*


「すごい!レッド!すごい!」

マサラタウンで再会したレッドにポケモン勝負を挑むも、あっさり返り討ちにあった。もうただの幼なじみなんかじゃなく、強者感が半端ない。

「別にぼくは、そんなつもりないんだけどな…」
「いいのいいの!あたしが崇めたいだけだから」

かなこの笑顔は眩しい。それが=恋というわけではないが、見ていて男として悪い気はしない。二人の異なる思いは静かに溶け合い、居心地のよさを作り出す。

「いよいよ、行こうと思ってるんだ」
「あたしも行ってもいい?」
「かなこは8つめのジムがあるだろ」
「うん、そうだった」

気を遣わなくていい存在。それだけで、特別な気がした。

「よお、かなこ!」

どのくらい待てばいいのか、トキワシティに来ては何度も離れるのを繰り返す。そこへふらりこちらも旅人だろうか…、グリーンが顔を出す。

「……そうか」

思いがけず真剣な声にパッと顔を上げた。そう呟いたグリーンの表情は、どこか吹っ切れたように晴れやかだった。レッドのポケモン図鑑完成が迫っていると聞けば、おれたちも頑張ろうぜと前向き。道中散々突っかかってきたのが嘘のように、穏やかだった。

「グリーン、なんか大人しくなったね?」
「はぁ?おれさまはいつでも大人しいんだよ!まあ…、大人に近づいたってことじゃね?」

これから先、どんな風に変わっていくかはわからない。だが…、この時に感じた、幼なじみの存在を忘れないように、深く心に刻んだ。


bkm
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