12
*進路*


「わーっ!すごーい!」

新たに見つかったというひみつのコハク。それを受け取りにかなこは、ニビ博物館に来ていた。裏口から入ってもらったという、レッドの知り合いと聞くと嫌な顔をされたが、そのレッドが頂点に立ったと伝えれば途端に気前がよくなった。大人とは変な生き物だ。

「あまり見せびらかさないでね?」
「わかってますって!」

早速グレンタウンに飛んだ。ところが、街の様子が何だかおかしい。レッドとの約束は後回しにして、話を聞いて回った。

「え?火山が?」

ここ数日、火山活動が活発になっているという。山が噴火したら、小さな街だ…ひとたまりもないだろう。想像しただけで身体が震えた。

「ポケモン屋敷も、野生ポケモンが住み着いてるし、変な人がうろうろしてるの…」

あの怪しげな屋敷。レッドはジムに鍵がかかっていたから、それを探すために入ったと後で聞いたが。かなこは物怖じして入れなかった。どんなお宝が眠っていただろう…そう思ったりもするが、街の雰囲気にそぐわなかったのは確か。

「昔はね、偉い博士が来たりしてたのよ。でも、今はさっぱり」

こう話すジョーイさんは、火山活動を受け、別のセンターに移動することを決めたらしい。他の住人も準備を進めているところだと言う。さくっとコハクからプテラを復元してもらうと、この景色を忘れないよう、目に焼きつけた。

「お待たせ!」

特に待っていたつもりもないが、かなこが息を切らして走って来てくれたのだ、笑顔にならないわけがない。ついに完成したポケモン図鑑を見せると、幼なじみの誇りだよ!と称えてくれた。その代償はわりと大きかったようにも思うが、完成してしまえばこっちのものだ。


bkm
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