10
*新たな冒険*


「………」

レッドはまだ、悩んでいた。うう、と唸ったところで何も解決しない。それならばとひとまずリザードンを呼び出して、まだ陽も高くならないうちに広い空を散歩し始めた。さてまずはどこへ行こう…そう思いマップを広げた時に、まだ立ち寄っていない場所があると気づく。

「ここ…」

イワヤマトンネルへ向かう時、左手に川が流れていたのを思い出した。その先にはカントーの電気を支えている無人発電所がある。無人といえば、泥棒や研究員の類いはいたが、ポケモン屋敷も似たようなものだった。ということは、そこにはまだ見ぬポケモンがいるかも知れない。

「……よし」

四天王に勝ち最強のライバルに勝ち、次の目的はポケモン図鑑完成。そう強く心に決めれば、目指すはそこだけ。あれこれ目標を立てるのはたぶん、得意じゃない。モンスター…いや、ハイパーボールと念のため穴抜けのヒモを買い込むと、10番道路を目指した。

「うわ……」

これまたひどい。長年放置でもされているのだろうか?物があちらこちらに散乱し、よくこれで動いてるなと感心しながら、奥へと進む。

「こいつは……」

エレブーを捕まえた後。奥の奥に一際強そうなオーラを放つポケモン…サンダーがいた。見立てではでんきとひこうの混合。歩がいいわけではないがリザードン…、きみに決めた!

「かえんほうしゃ!」

激しく飛び散る火花に圧倒されつつも、着実に敵の体力を削っていく。倒さないように…慎重に。

「それっ!」

止まれ止まれ止まれ…!カタカタと音を立てて動く丸い物体に念を送ると、どうやら通じたらしい…、完全に動きが止まった。

「やった…!」

絶対に離すもんか、そのくらいぎゅっと強く握りしめた。それから双子島に飛び、チャンピオンロードを再び駆け回って、伝説とも呼ばれる三匹の鳥たちを仲間にした。


bkm
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