「…よっぽど、気になる物があるんですね」
つられてこっちもニッコリすると、そうなんだよ!と声を荒げて言う。この人…、チャンピオンである以前に、子供なんだな…とちょっと呆れちゃったけど、楽しそうならまあ…、いいよね。部屋を確保して、軽く水族館を見学して、今日は休む事にした。
「…おやすみ、かなこちゃん」
「おやすみ…なさい」
…まだ慣れない。チャンピオンと、御曹司と…気になる人と…、同室で寝るなんて。そう思ったけど、今日は疲れちゃったみたい、早めに眠気が襲ってきた。
「…おやすみ、眠り姫…」
薄っすらそんな声が聞こえた気がしたけど…瞼は意外にも重くて、それが幻聴なのかは結局わからないままだった。
「…ええ!?」
朝から大声を出してしまった。今日は天気もよくて、テラス席で朝食をとっていた時の話。
「今日のホテルは、部屋に露天風呂がついているみたいだ…珍しいよね?」
何の気なしにダイゴさんがそう言う。ん…?露天風呂…?しかも、部屋に…!?
「…ええ!?」
「…どうしたんだい?急に」
「…あの!今日は…その…、別々の部屋で…!」
ん?と首をかしげるダイゴさん。ボクと旅を続けるの、嫌になったの?とか、ワケのわからない心配をしている。
「…そうじゃなくてその…!!露天風呂、部屋…」
最後の方は恥ずかしくて言葉になっていなかったけど、どうやらダイゴさんはわかってくれたようで。
「心配いらないよ。まさか何かするためにかなこちゃんと、一緒に旅してるワケじゃない…からね」
「…そう、ですよね。まさかダイゴさんが、そんな事のため?に私と旅をしてくれてるワケじゃ、ないですもんね。じゃあ、大丈夫です!」
横ではふう…と溜息をついてる彼女__かなこちゃん。意識しているの…、バレバレなんだけどな。ボクはその様子を、心の中で微笑ましく思ったけど、果たして冷静でいられるのかな…?少しだけ不安になった。本当の気持ちがバレてしまったら……嫌われる、な。
とりあえずホテルに電話をし、部屋だけ確保すると、一番楽しみにしていた輝きの洞窟を目指す。何が見つかるかな、とワクワクしているダイゴさんが面白くて、先ほどまで感じていた恥ずかしい気持ちはすっかりなくなってしまった。…と、思ったのに。