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「こんな崖から降りるんですか!?怖いですって!!」

3番道路の先にある、まだ見ぬ地に行ってみたいと提案したのはよかった…が。洞窟から回っていけばいいものの、崖から飛び降りてこっちに来いよ、そう促すグズマはまるで悪魔のようだった。

「どうしたぁ、チャンピオン!これくらいの試練にビビるとはなぁ!」

何だか楽しそう…そう思うと無下に断れない。挑発に乗って、ケンタロスを急かし崖から飛び降りた……はよかったが。

「……きゃぁ!!」

勢い余って着地したせいで前につんのめる形になり、かなこのワンピースの裾がふわり捲れ上がった。チラッと向こうに目を向けると、グズマは頬を真っ赤に染め、目を大きく見開いて固まってしまっていた。そして冒頭に戻る。

「なんかそれ……久しぶりに聞きました……」
「ああ……久しぶりに言ったからな……それより大丈夫かよ、かなこ」

えへ、はにかみがちに笑うかなこは幸いにも大怪我をせずには済んだが、万が一のことを考えて今日のところはお開きになった。

「でも、グズマさんにパンツ見られちゃったのは恥ずかしかったなぁ」
「……なっ、てめ……っ、そういうことは蒸し返すんじゃねえ……!」
「あはは!グズマさん顔真っ赤!!」

いろんなことがあったが、昨日から続く邪念はすっかり振り払われていた。かなこを見ても普通に振る舞えるようにまで回復して、正直ホッとした。それからはかなこの調子を伺いつつバトルやポケモン採集という名のデートをした。


「う"……」

何年ぶりだかわからないくらいに風邪を引いた。独り身のグズマの容態がこんなだと伝える術はなく、ひとり孤独に苦しんでいた、が。

「あんたみたいな馬鹿でも風邪引くんだね?グズマ」
「プルメリ……」

声の主はかつての仲間、プルメリだった。姐さんとも呼ばれ、スカル団のしたっぱたちから慕われていた女幹部である。今しがたかなこと会ったよ、なんて話す彼女は一体、何をしに来たんだろうか。


bkm
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