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「かなこ……?」

想いを伝えあってから。少し時が流れたある日、彼女は突然現れた。今までの活発な服装とは違う、大人びたワンピースを身に纏っていた。それがひどく新鮮で、グズマは思わずその場に立ち尽くしてしまった。

「あれー?グズマさんも来るー?」
「……オレさまがここにいたってことは内緒にしといてほしいんだがな」

そう言うとこれから海で遊ぶんだー!そうのんきな声が返ってくる。

「海ぃ!?まさか、泳ぐのかよ」
「それはわかんないよー。でもー、水着になってポケモンと遊ぶんだー」

いいでしょー?まるでそう言われているようで。だが自分は水着になる気は到底ない。それに、今水着姿のかなこを見てしまえば。

“いよいよ童貞卒業っすか?グズマさん!“

したっぱのあの言葉が頭をよぎる。適当な理由をつけてその場を後にすると、また足は勝手にある場所へと向かっていく。

「邪魔するぜ!」

向かった先は自分の家。幸い、祖母しかいなくてホッとした。最近の父は出かけることも増えたらしく、きちんと和解できる日も近づいてきているのかも知れない、そう思った。

「うわ……!くっせ……!」

久しぶりに部屋のベッドに近づいた。確かに片づけるわけにはいかなかっただろうが、せめてシーツくらいは変えておいてくれ、そんな心境。

(けどよぉ何でこんなに焦ってんだかな、)

さっきから、いや……正確に言えばしたっぱやハウと話してからだが、自分の中で不思議な感覚が飛び交っている気がした。それに、いきなり自分の部屋に呼ぶなど下心丸出しじゃねえか、そう笑ってみせるも一通り部屋を綺麗にしていく。やればできるじゃねえかと自画自賛した室内は、ピカピカになっていた。


bkm
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