「グソクムシャ、オレにはおまえしかいねえ!」
「じゃあおれはジュナイパー!頼んだよー!」
拮抗しているはずなのに、だんだんと押されているのがわかる。それくらい、ハウは強くなっていた。
「……どうもな、ハウ」
「全然!グズマさんの本気が見れて楽しかったよー。グソクムシャにも言ってたけどさー、あれ、かなこに対しても言ってたでしょー」
「………はあっ!?」
変なところを蒸し返すなこいつ、心境はそうだった。
「かなことグソクムシャを重ねてたんだー、へえー」
「……だから違げえって言ってるだろうがよ」
「そうムキになるところがまた怪しいよねー?ジュナイパー」
つくづく呑気なやつだ、そう思うも意外と鋭いハウは更に、こう言ってきた。
「でもさーグズマさん、かなこって結構モテるから、ちゃんとやることやっとかないと盗られちゃうよー」
「……やっ、やることっててめえ……、どこでそういうの覚えてくんだよ」
「えー?なにー?グズマさん、変なこと考えてるでしょー!」
……。こいつには敵わない、直感でそう思った。ハウは風の噂でリーリエといい感じだと聞いたが、今何かを聞けば倍になって返ってきそうで怖い。
「かなこのこと、頼んだよー!おれだって守ってあげたいけど、かなこ、ひとりでも強いしねー。それに、バトルじゃなきゃ、おれには大人に勝ち目ないからさー」
そりゃそうだ。グズマもハウには喧嘩は似合わないと思うも、どこでそういう輩に出くわすかわからない。自分がかなこのボディガードをしていれば安心、ということか。
「じゃあな、オレさまは行くぜ。これ、二人分な」
気前よくエネココアをおごって帰路につく。これからはあいつに近寄る男を排除してかなきゃならねえな、変に意気込みながら。