(会いてえ……)
昨日会ったばかりだと言うのに。ひとりカウンターでエネココアを飲みながらそんなことを思った。スカル団として馬鹿やってた頃にはなかった感情に戸惑いつつも、それを微笑ましく思えるのはなぜだろう。マスターがいつもよりも優しい笑みを浮かべているのにも気づかなかった。
「ごちそうさん」
また待ってるよ、そう言うマスターはやはり笑顔で。馴染み客とはいえあまり人と関わらないグズマだが、この日ばかりはまたな、そう声をかけて店を後にした。
「さあ……、どうするか」
頭がそう考える間もなく、足は自然ととある場所へと向かっていた。
「ママ、早いねえ、最近」
朝からガシャガシャ何やら作っている様子がこの数日見受けられた。防衛戦と図鑑集めを基盤に置くものの、前よりも自由になったかなこは、家に帰ることが多くなった。それゆえ、些細な変化が気になるというもの。
「ほらママ、ハラさんのお手伝いすることが決まったのよ!だからニャースを連れてね、リリィタウンまで遊びに行ってるわけ!」
そう話すママはどこか楽しそう。元々明るい性格だが、なおさら明るく見えた。
「それよりかなこ、あなた、見ない間に綺麗になったわね!」
「……え?どういう意味!?」
ふとグズマとのことを思い出して顔が赤くなる。それと同時にチャイムを鳴らす音が聞こえた。
「あら、誰かしら。ククイ博士ー、ちょっと待って……」
「……え!?!?ぐ、グズマさん!?」
何と訪問者はグズマだった。昨日も思ったが、いつ家の場所を知ったのだろうか。邪魔するぜ、そう入ってくる姿はやはりチンピラと思われても仕方がなかった……が。