08
*二人の勇者*


「ここが、ポケモンリーグ…」

8つ目のバッジをもらいに来たが、ジムリーダーは不在だった。しばらく休みますとの貼り紙があり、仕方なくポケモン研究所へと戻った矢先。

「おお、かなこ!そうじゃ、わしと一緒に行くかね?」

グリーンがあの四天王に勝ったと聞いた。さすがだな、と思いつつも自分なら勝てるだろうか?とマイナスな気持ちが浮かぶ。だが、空から見るセキエイ高原は、かなこの心を強く揺さぶっていった。

「このおれさまが!世界で一番!強いってことなんだよ!」
「……」

リーグでは今まさに、頂上決戦が行われようとしていた。四天王を倒し、チャンピオンの座に上り詰めたグリーンを、タッチの差で追ってきたレッド。ふたりが、新チャンピオンの称号を賭けて挑む本気のバトルを繰り広げているとは、外の二人はまだ知らない。

「博士、グリーンはどこに?」
「ほっほ。慌てるな、かなこ。奥の部屋じゃぞ」

ポケモンリーグには、殿堂入りの部屋と呼ばれるものがあると言う。まさか幼なじみがそんなすごいことを成し遂げるなどと冒険を始めた頃には思ってもみなかった。だがこうして、現実になろうとしている今、自分のこと以上に胸が高鳴る。

「……グリーン!って、レッド!?」

二人が到着した時。何となくその場の雰囲気で察した…、レッドが新しいチャンピオンになったのだと。項垂れるグリーンに博士は、孫だからなのだろうか厳しい言葉を浴びせている。それを伏し目がちに聞くレッドは本当に、心の優しい少年なのだろう。たまたま居合わせて、嫌味なことを言われていたのも聞いた。なのに愚痴ひとつ溢さず、真剣に彼とポケモンで向き合おうとしていた…そんなレッドはやはり、遠い存在なのかもしれない。


bkm
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