*ロケット団*
「あっち行かねえとぶん殴るぞ!」
ずいぶんと怖い人間がいるもんだ。カントーでも都会の分類に入るタマムシシティは、ジムリーダーのエリカがくさタイプを扱っているのもあってか、緑の多いところだった。だが、それに似つかわしくない黒い服を着た大人たちが、街をうろうろしている。少し見ていただけでこれだ…、最悪の事態になる前に立ち去ろう、そう思った。
「レッド…?」
見知った姿を見つけ、後をつけた。どうやら彼はゲームコーナーに入っていったらしい。まさかあの真面目なレッドがギャンブルに?とも思ったが店内に彼はおらず、トイレでも行こうかとぐるぐる歩き回っていると。端の方に怪しげな、地下へと続く階段があった。
「……あ!ロケット団!」
降りるなり見回りをしていたしたっぱと遭遇、勝負をもちかけられた。タマムシマンションで偶然見つけたイーブイを、ほのおタイプのブースターへと進化させて挑んだ。当然のように勝利するも、肝心な人は見つからない。
「ま、また、会えるよね」
ジムをクリアした頃には会えるだろう、そんな淡い期待を込めて外に出ると、雲行きが怪しかった。急いでポケモンセンターに戻り、回復を待つ間にお茶を飲む。今夜はここで泊まりかな…そんな事を考えながら。