04
*幽霊*


「ココカラタチサレ……!」

ジムリーダーマチスと対戦し、無事にオレンジバッジを手に入れたかなこ。迷いに迷いながら、やっとの思いで外に出ると見えてきたのは、どこか暗い影を落とす街、シオンタウンだった。ポケモンセンターで疲れた仲間たちを休ませている間、ふらりと散策していると、ここには寿命を終えたポケモンたちの眠るお墓があるのだと言う。

「別れ…か」

何となくポケモンの寿命は、人間よりも長いのだと思う。だが、それは出会ったタイミングにもよるのだろう。すでにそれなりの時を生きているポケモンと出会えば、自分にも別れが訪れるかもしれない。そんな意味合いを込めて、ポケモンタワーに登ろうとした…。

「!ポケモンたちはセンターに預けたまま…」
「タチサレ……ココカラタチサレ……!」
「………っ、きゃーーーー!!!」

ただでさえ薄暗く、気味の悪い場所。そこにポケモンを連れずに登ろうとしていたなんて、一体何をしていたんだと引き返す途中に、幽霊に追いかけられた。まるでホラーではないか。こんな恐怖体験をする事になるとは…ポケモンタワーへ行こうとした事を後悔した。

「グリーン!?」
「なっ…、なんだよ急に!」
「見たの、あたし」
「見たぁ?何をだよ」
「そ……」

気づけば飛び出した勢いのまま、見知った顔に抱きついていた。その距離の近さに慌てて離れると、相手も少々動揺しているようで、頬が赤いような気もする。

「幽霊だぁ?おまえ、寝ぼけてたんじゃねーの」
「ね、寝ぼけてなんかないよ!ほんとにいたんだってば!」
「……いるよ、幽霊」
「……わっ!」

いきなり見知らぬ少年に話しかけられ、またしてもグリーンにくっついてしまった。それをどう思っているのかはわからないが、かなこの他にも同じ事を言う人間がいたからか、今度は青ざめている。

「い、行こうぜ?タマムシシティに」
「そ、そうだね…ありがとう、教えてくれて」

少年に何となく礼を言うと、ポケモンセンターまで二人、無言で歩く。じゃあなと言ったグリーンの背中は、少しだけ、揺れている気がした。


bkm
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