04
「…っと。とりあえず、宿を決めようか」
「…そうですね。日が暮れる前に探しておかないと」

コボクタウンは小さな町で、観光名所と言えばショボンヌ城くらいですね、と案内所の方は言う。勧めてもらったホテルに行くと、ダイゴさんは当たり前かのように1つしか部屋を取らない。

「…ごめんね、ボクにもっとお金があれば、別の部屋にしてあげられるんだけど」

おやじに怒られるからね…と持ってきたカードを仕舞う。自分で稼いでない…ワケはないと思うけど。これから何泊もする事を考えれば当然だし、何より私たちはただの…仲間。

「…仲間!?」
「え…?」

急に大声を出してしまった私を不審に思ったのか、ダイゴさんが顔を覗き込んでくる。

「…っ、何でもありません」

…顔から火が出そう!!そうじゃなくても今日は、ドキドキさせられっぱなしなのに…!!またしても言いたくても言えないもどかしさを抱えながら、ショボンヌ城へと向かった。

「…何か、大した事なかったですね」
「うん…そうだね」

何かを考え込むようにぼんやりしていたダイゴさんから返ってきた返事は、どこか上の空。とりあえず夕飯だね、と近くのカフェに入ると、何を話していいのかわからない。それはダイゴさんも同じなのか…と思ったら、いつの間に持ってきたのか、新聞らしきものを読んでいる。

「それは…?」

ああ、と一度折り畳むと、ほら、って見せてくれる。

「…私には解読できません」
「…だろうね。ボクは一応、何ヶ国語かは知っているから」

少し得意気に言うところがまた…と思ったけど、これだけルックスもよくて、語学堪能であれば、寄ってくる女性は少なくないはず。少しだけ…、胸がチクッと痛んだのは内緒。

ホテルに戻ると、交代にお風呂に入る。今まで男の人と同じ部屋に泊まった経験なんてなかったから…、正直おやすみ、と言われてもなかなか寝つけなかった。だからこっちに旅立つ前に、ミクリさんが言ってた事を、少しだけ考えていた。

「…置いてきぼりにされたのかい?ダイゴに」
「…え!?」

巨大隕石の衝突を防いだ事件の数日後。これからどうしようかと思い、私はその件でお世話になったミクリさんの元へと向かった。そこで言われた第一声。

「…どうして、ダイゴさん…なんですか?」
「…フフッ。いや…こちらの話だよ。気になるんだろう?ダイゴの事が」

…図星だった。それがハッキリ恋愛と結びつくか…はわからない、でも今どこで、何をしてるかくらいは、知りたいけど。

「実は少し前にはなるんだけれど…」

ダイゴさんはどこか、この国ではないところにいるらしい、と一報があったんだとか。わたしは彼の一番の親友だからね…と話すミクリさんの言う事はあながち嘘ではないと思う…でも。

「ただし…そこがどこなのか、わたしにはわかっていないんだ」

力になれなくてすまない…そう話すミクリさんにお礼を言い、メガシンカのルーツを探るには…と選んだのが、このカロス地方。もしかしたら、とは思っていたけど、まさか初日から会っちゃうなんて…。明日からはどんな旅になるのかな。期待と不安が入り交じりながら、カロス地方での初日を終えた。


bkm
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