03
「実はねかなこちゃん。ボクは少し前にね…この辺りには来たことがあるんだ、だから…エアームドに乗って、空でも飛ばないかい?」
「…え!?二人乗り…ですか!?」

一人で乗るのだって怖いのに…あの、エアームドってしかも、そんなに大きくないんじゃ…。

「あはは、かなこちゃん。顔が面白い事になっているよ。…どう?乗っていく?」
「…わ、私はいいです!」

何か恥ずかしくなって、慌てて否定した。きっと…顔は真っ赤になっていると思う。そんな私を見てダイゴさんは、更に面白そうに笑う。

「…さあ、行こうかかなこちゃん。大丈夫、エアームドの乗り心地は悪くないよ」

…そういう事じゃなくて…!!怖いし、その……密着……。

「ああ…、心配いらないよ。ボクが後ろから支えてあげるから…安心して?」

なおも面白そうに声をあげて笑うダイゴさんが逆に憎たらしくなってきた。…もう、この人がかのチャンピオンだなんて、やっぱり変な感じ!!と心の中で悪態をつきながら、大人しく乗せてもらう事にした。…とは言ったものの。

「な…何か…緊張してきました…」

いつも乗りなれていないのと、後ろにダイゴさんが乗る、というシチュエーションに、どうしたらいいかわからなくなってくる。そんな私にダイゴさんは、

「しっかり掴まっててね、まあ…ボクが落ちないように支えるから問題ないけど」

と言う。安心させようとしてくれてるんだけど…ラティオスに乗った時とは違うし……。

「…って、きゃあ!」
「大丈夫?」

いきなり飛び立たれて、バランスを崩しそうになったところを、咄嗟にダイゴさんが支えてくれる。急に縮まった距離に心臓のドキドキは止まらない。おかげで何も見れないまま、コボクタウンに着いてしまった。

「…もう、ダイゴさんのせいで」
「ごめんごめん、悪気はなかったんだ」

…あったらぶっ飛ばしてる!!とまたしても悪態をついてしまう。初めて会った時から…変わった人だとは思ってたけど、なんだかんだで冒険の手助けをしてくれたし、仮にもチャンピオンだし、それに…、カッコいいのは間違いない。でもやっぱり、世間とはちょっと外れてる…そんな気がするからなのかな、悪態ついちゃうのは。その後ダイゴさんにまた面白い顔しているよ、と突っ込まれたのは言うまでもない。


bkm
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