雨宿り
ヒロイン:frlg主人公


久しぶりの再会にふさわしい…、恵みの雨だった。


「グリーン……」

かなこがチャンピオンの座を断ってから2年。オーキド博士のいう、図鑑完成を本格的に目指そうと一人、各地を渡り歩いていた。グリーンと呼ばれた少年は、思ってもみない少女の登場に一瞬、戸惑った表情を見せたが、すぐに厳しい目つきに変わった。

「ヒトカゲ…、だいぶ弱ってるな。何で薬使ってやらねーんだよ」
「それが……」

先程戦闘があり、キズ薬を使い果たしてしまったのだ。そう伝えれば半ば無理やりにリーフからヒトカゲを奪い取ろうとするグリーン。

「…やめて!」

気休めにさしていた傘が落ちる。それを慌てて拾おうとするも、一瞬遅かった。

「…ほら。あっちに雨宿りできそうなところがあるから、着いてこいよ」

その言い方は不器用だったが、チラリと見れば彼の頬は赤く染まっていた。それにふわりと笑みを零すと、しばしの相合い傘を楽しんだ。

「…ありがとう、グリーン!」

キズ薬をくれたグリーンに礼を言う。なかなか止みそうにない雨音に耳を傾け、そっとヒトカゲを抱きしめると、ポツリ言葉が落ちてくる。

「震えてる……」
「…え?グリーンのお陰で元気……」

ふわっと甘い香りが鼻を掠める。気づけば彼の腕の中で…、背中からの体温がじんわりと身体を温めていく。

「お…… 、おまえが寒そうにしてたから……」
「う……、うん……」

程なくして離される身体。それは別れた今でもぼんやりと…、温もりを残しているようだった。


bkm
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