おさななじみの誘惑
ヒロイン:frlg主人公


「まだかなこに告白してないんだ!?」
「…シッ!デカい声出すな!」

オレの隣でおかしそうに笑うヤツ__レッド。コイツとは幼馴染みで、3年前にチャンピオンになってから、すぐにその座を奪われちまった。だが今じゃシロガネ山にこもりっぱなしの、変わり者って評判だぜ。

「久しぶりにグリーンにも会いたいって言ってたよ、かなこ」

かなこ。コイツもまた幼馴染み。レッドに負けてからはどこで何をしてるのかわからねえ。けどレッドはこないだ、久しぶりにかなこの姿を見たと言う。

「…オレは別に会いたくねえけどな」

何でオレがアイツに告らなきゃならねえんだよ、第一。そう言うとかなこの気持ち知ってるくせに、とか言い始める。

「それにかなこ…、綺麗になってたよ?…胸も、成長してるみたいだったし」
「………はあ!?」

ったく、まさか幼馴染みからそんな言葉聞くとは思ってなかったぜ!再戦の約束をしてたヒビキと勝負し終え、トキワのジムに戻る途中、オレたちは再会した。

「かなこ…か?」
「…グリーン!」

ああ…、久しぶりだな。元々コイツはそこらの女より可愛…じゃねえな、全然イケてなかったけど、言われてみりゃ多少?は女らしくなったみたいだな。それに……。

「どうしたの…?」
「ん?ああ、いや…、何でもねえよ。それよりかなこ!久しぶりに会ったんだ、勝負しようぜ!」

もちろんオレが勝ったけどな!したり顔で見てやると、前はあんなに弱かったのに、なんて言いやがる。そりゃ…、1度もおまえに勝った事はなかったけどな。

「驚いたよ、強くなってるのもそうだけど…、カッコよくなってるんだもん、グリーン」
「…は!?おまえまさか、今更オレさまの魅力に気づいた訳!?」
「うん…だって、あの時はただの幼馴染みで、ムカつく奴としか思ってなかったもん!」

…。冗談かましたつもりが、真面目に返ってくると、調子狂っちまうよな。それから他愛もない話をして、コイツを家に送り届ける。

「んじゃ!またな?かなこ」

久しぶりにマサラタウンに来たから、ねえちゃんにでも挨拶するか!そう思って家に入ったけど、誰もいねえ…。

「グリーン…?」

…は?何でかなこがオレの家に!?聞けばコイツの母親は家を留守にしてるみたいで、入れないんだとか。…待てよ?この状況、まずいんじゃねえの…?オレの部屋にコイツと二人きり…、いやいや!何考えてんだよオレ!ばっかじゃねーの!

「おう!今日は特別にオレさまの部屋に泊めてやるぜ、ありがたく思えよ?」

そう言うと偉そうだなー、なんて言う。偉いんじゃねえよ、わかんねえけど今…、心臓がバクバクいって…。実際モテる方だし、正直キスくらいは済ませてる、けど何だろうな…、コイツの事、妙に意識しちまってる。

「月が綺麗だね…」

こっち来て一緒に見ようよ!そう言うかなこは無防備だ。言っとくけど、あんまり無防備だと、何かあっても知らねえからな…?

「…おまえ、彼氏は?」
「え…?急に、何!?」
「…いるのかって聞いてんだよ、質問に答えろよ」
「……。そんな余裕、なかったもん、それに……」

ジワジワと距離を詰めてやる。つーか、オレだって、おまえに気がない訳じゃねえよ、だから……。

「グリーン…?」
「なあ…、オレの事、どう思ってるんだ…?」
「え……?何、どういう…っ!」
「かなこ…!?」

何バランス崩してんだよ、男に迫られた事もないのかよ…って、まずいだろ!この体勢…!

「……っ!?」
「かなこ…」

恥ずかしがってるコイツが、すげえ可愛く見えちまったから…、許せよ?

「ちょっとグリーン?玄関の鍵、空きっぱなし……」
「「………」」

その後、ねえちゃんにかなこを襲ってると勘違いされてこっぴどく叱られた。かなこはかなこで、顔を真っ赤にしてねえちゃんの部屋に引きこもっちまった。

「あの…また、来るね?」
「あ、ああ…、またな」

あれから何も進展はねえ。けどもし、おまえが望むなら…、このオレとつき合えってんだ、そんな事を思った。


bkm
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