05
『アニキ、なんかやらかしたと?』
「?キバナさんがね」

朝になるなりマリィから電話がかかってきた。ネズさんはなぜかひどく落ち込んでるらしいけど…別に怒ったわけじゃないのに。酔っ払いは面倒だと素直に伝えたら、電話越しに笑ってるのがわかる。

『キバナさん?あの人はやめときんしゃい』
「え?違うよ!好きとかじゃないし!」

一言も言ってないのにマリィは想像豊かだ。大体、あんなイケメンを好きになったってフラれるに決まってる…それに、そもそも異性として好き、の意味がまだあたしにはわからない。

「よう、かなこ」
「!!」

エンジンシティのブティックで買い物した後、街をふらふらしながらファンの対応をしてたらキバナさんに会った。昨日の今日であんまり顔を合わせたくなかったけど、ここは仕方ない。笑顔だ、かなこ。

「……昨日は悪かった。ダル絡みしたオレさまのせいだよな?オマエが怒ってたの」

そんな素直に謝られたら許すしかない。本当、イケメンって得だと思う。真っすぐな眼差しで見つめられたら、恋愛経験のないあたしだってドキドキしてしまいそうだ。

「お詫びってわけじゃねえけど。この後、つき合ってくれるか?」

連れていかれたのはおしゃれなカフェ。ここ…デートスポットとしても取り上げられてるところだ…。 彼女いるくせにあたしをこんなところに連れてくるなんて、この人トップジムリーダーの前に人間としてどうなの。

「ん?オレさま今、フリーだけど?」

……え。思わず固まってしまったあたしにキバナさんは、ニヤニヤと嬉しそうな笑みを向けた。その笑顔で一体、何人の女の子を落としてきたんだ。

「ま、考えとけよ。昨日言ったことは冗談なんかじゃないぜ?」

どういう意味。それって告白?あたしとつき合いたいってことなの…それとも、からかわれてる…?キバナさんの発言の意図がさっぱりわからなくて、少しだけモヤモヤした日々が続いた。


bkm
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