窓に写る影
ヒロイン:XY主人公
※「ミアレの夜明け」のつづき的なもの


それは突然訪れた。とあるカフェで一人優雅に朝食を取っていると、見覚えのある少女が顔を赤らめてどこかへと歩いていくのが見えた。その行き先は恐らく、ミアレシティに構えた自分の研究所。

「…ポケモン図鑑、かな」

何となくそんな気がしてプラターヌは一人、裏口から研究所へ戻った。

「……あ、博士!」

何故か自分の顔を見て驚いているかなこ。…また何かしてしまったのだろうか、そんな想いが頭の中を駆け巡る。

「やあ、かなこ。ポケモン図鑑だよねー、今見てあげるよ」
「…っ、あの、その……」

いつも通りにそう答えると更に不思議な反応を示す。いよいよまずいとは思うが、心当たりなどまるでないのだ。

「どうかしたのかい?具合でも悪いなら、ボクの部屋で良ければ休みなよー」
「…。ち、違うんです…、博士。あたし…。」
「かなこ……?」

自分に近付いてくる顔は完全に恋をした女の子そのもので…、プラターヌはようやくこの状況を理解した。期待と不安が交じる頭に呼吸をそっと送ると、次の言葉を待った。

「博士…あたし…、博士の事が好きなんです……」
「……」

最後の方は消え入るように小さかった。その頑張りにふわりと穏やかな笑みを浮かべると、そっとセレナを抱きしめた。

「は…かせ……?」
「…ありがとう、かなこ。言わなきゃいけないのはボクの方だったんだけどねー、怖くて言えなかったよ」

少しだけ距離を取ると、ぶつかる視線。クイッと顎を持ち上げれば、揺れる青い瞳。窓に写る2つの影はゆっくりと時間をかけて、1つに重なった。


bkm
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