「ボクときみが、初めて出会った場所…壁画のフロア…」
「うん…」
隕石のかけらを取りに行くように、ムクゲさんに言われて、ヒガナに会って。ダイゴさんと石を探した、この場所。自然と手を取りあって、奥へと進んでいく。
「ダイゴさん…見た事あります?空の柱の壁画」
「いや?見た事はないよ」
「言わないでおこうと思ったんですけど…。」
ヒガナとの事。継承者って言われた事。全部ダイゴさんに告げると優しく…、抱きしめてくれる。
「…無理はするなよ?かなこちゃん。次に何かあったらボクは…、必ずきみを優先するから…」
抱きしめる腕の力が強くなる。しばらく抱きあっていたけど、改めて見ると…とかダイゴさんは言う。
「このホウエンには、たくさんの伝承というか、があったんだね。あの一件もそう…」
どこか遠くを見つめる瞳。その輝きは…、吸い込まれてしまうくらいに素敵。
「…っ!?」
いきなり、視界からダイゴさんが消えたかと思うと、目の前に顔が…!カロスでもこんな事あったよね?ってまるで狙っていたかのように言う。
「…もう!驚かせないでください!」
「ふふ…すまない、かなこちゃん。けどきみがずっと、ボクを見ているから、嬉しいなと思ってね」
子供みたいにはしゃいでいるダイゴさん。続きは帰ってからね?とまた妖艶な笑みを浮かべてくる。
「来年は、ホウエンでも雪が降ったらいいのに」
「それだとかなこちゃん、薄着ではいられないね」
外に出ても繋いだ手は離れる事はない。こんな穏やかな時間がずっと続いたらいいな…心の中でそう思いながら、帰路についた。