「さあ、始めようか、かなこちゃん」
朝からテンション高めのダイゴさんと、バトルハウスで連勝を重ねて。段々慣れてきた私に、こんな事を言う。
「かなこちゃん、腕を上げたね!」
「え!本当ですか!?」
嬉しい…!よくよく聞いたら、ダイゴさんが使っている2匹の能力はかなり高いみたいで。不安だったけど私も、ラティアスと特訓を重ねて、少しは自信がついてきたから。
「ますます…、ボクのパートナーとして欠かせなくなるね!」
「…んっ!」
ラティアスに乗りながら落とされたキスは、甘い。穏やかな雰囲気で迎えた次の日は、ミナモシティで買い物。夜、一人だと寂しいと思って、ぬいぐるみ買ってもらっちゃった!
「うん!楽しみだね、それは」
そして決めた、今日はフィールドワークのあと、ご飯作るんだ!ママからレシピは送ってもらってるから、たぶんバッチリ!流星の滝に行くというダイゴさんは無視して、家に帰って作業に取りかかる。
「帰ってこない……」
なかなか戻らないダイゴさんを待ってたけど、眠くなってきちゃって、お風呂に入ったら自然と閉じる瞼……。
「かなこちゃん…?」
眠っている…それもそうだな。ボクが思いの外流星の滝に引きこもりだったから(調査が進まなくてね…)、呆れてしまったのかもしれない。
「…ありがとう、かなこちゃん」
机の上に置かれている夕飯。わざわざ、ボクのために作ってくれたんだ…とありがたく頂いて、風呂に入る。
「……ふう」
起きる気配はない。仕方なくベッドに近づくと、かなこちゃんはプレゼントしたミズゴロウドールを、大事そうに抱えて眠っている。何だかそれに嫉妬してボクは、悪戯を決行した。
「ん…?」
眠そうに寝返りを打つかなこちゃん。虚ろな眼のまま、ボクをそっと見つめてくる。
「何かあったのかい?かなこちゃん」
「ミズゴロウドール…何で…」
もちろん責められてるワケじゃあないよ?でも何だか…こういうのも悪くないね。
「欲しい…?」
「うん……」
眠いながらもねだっている物が、まさかぬいぐるみだなんてね…悔しいな。
「なら…キスして?きみから」
「…っ!!」
そう耳元で囁くと、パッと大きな瞳を見開いて驚いている…可愛いよね、全く。
「何言って…」
「ボクはホンキだよ?かなこちゃん」
うーん…顔をしかめているのに寄ってくる姿は可愛らしい。そんな風にされると…待てないな?ボクは。
「んっ…」
「かなこちゃん…」
夜が明けるまでしばらく…ボクたちは流れに身を任せていた。