ライバルだと思うけど
ヒロイン:BW主人公


「ベル!チェレン!久しぶり!」

プラズマ団の王様、Nやゲーチスと対峙して、チャンピオンのアデクさんを倒して、イッシュ地方最強のトレーナーになったかなこ。まだ何かが足りない、そう言ってぼくたちの前から姿を消して2年。ひょっこり、帰ってきた。

「かなこ…?久しぶりだねえ!今までどこに行ってたの?心配したんだよお!」
「…相変わらずだね、キミは。連絡をよこさないままいなくなって、ひょっこり帰ってくるなんて」

そう言うとチェレンの嫌みも懐かしい!なんて言う…調子狂う。2年経ってもかなこは変わらない。ベルは大人になった気がするし、ぼくだって男として少しくらいは成長したと思う…けど。

「チェレン、何かムカつく事考えてるよね?きっと。どうせ私には色気はないですよーだ!」

色気…?そうか、かなこにはそれが足りないのかも知れないね…。たぶん、ぼくより強いから、そう言う気持ちにならないだけだと思うけど。ベルとかなこは再会を喜んでお茶でもしようとカフェに入っていく。ジムに少し遅れると電話を入れて、ぼくも続いた。

「かなこ、メイに会ってみない?可愛いんだあ、妹みたいで」
「へえ!また復活したプラズマ団を倒したなんて、すごい女の子なんだ!」

女同士盛り上がってる。たまに振られる質問に答えながら、あっという間に時は過ぎた。

「じゃあねえ!あたしは用があるから!」

そしてマイペースのベルがいなくなると、かなこと二人きりになる。何でか良く分からないけど、落ち着かない。

「…ねえ!せっかくだから、観覧車乗ろうよ!」

かなこの提案にすんなり賛成した。実は乗った事がなかったんだよね、なんて言いながら。

「もう!チェレン、つまんない!」

文句を言いながらも、一緒に乗ってくれたのは良かったけど、何を間違ったんだろうね…。

「ごめんなさい、今、部屋が1つしか空いてなくて…。」
「…えっ?そんな…」
「それで構いません、お願いします」

戸惑っているかなこをよそにぼくは、手続きを済ませた。

「まさか…同じベッドで寝るの!?」

部屋に着くなり大声を出したかなこにぼくは、こう返す。

「安心しなよ、頼まれても何もしないから」

…嘘。本当は何か、期待してるんだと思う。男はサイテーな生き物かも知れない。幼馴染みで、一度も恋愛感情なんて持った事はない。だから平気だと思った…、なのにドキドキしているなんて、おかしいだろ。

「おやすみ、チェレン」

あんなに警戒してたくせに、あっさり寝てしまったかなこ。

「…全く」

呆れて物も言えない。けど、普段見る事のない寝顔にぼくは、自然と引き寄せられていた。下手な真似をすれば、変な感情が生まれてくるに違いないのに、止める事はできない。

「かなこ……」

ぼくは、ひどい奴だな…。眠っているかなこにそっとキスを落として、少し離れたソファーで一夜を過ごした。


bkm
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