妹じゃないんだな
ヒロイン:BW2主人公


「…ヒュウくん!」

こいつはかなこ。オレの幼馴染み。旅に出るまでは、妹みたいなもんだと思ってた。けど…、こいつはリーグチャンピオンになって、オレの相棒だなんて今更言えないくらいに強くなっちまった。そんな今でもこうして時間があれば、オレと勝負をしに来てくれる。

「聞いて聞いて!こないだ、PWTで優勝したの!」
「そうかッ!さすがだな、オマエ!」

かなこの報告を聞いて、頭を撫でるのがオレの日課。かなこも満更じゃない様子。

「でね、ヒュウくん。あたし、女優になる事にしたんだ!」
「………はぁ!?」

女優…!?ああ、そう言えば、タチワキに行った時に、駆け出しの女優が何とかって言ってたな…こいつの事だったのか!?

「もちろん、応援してくれるよね?」
「……」

女優…。かなこはポケモンと共演するんだ!ってはしゃいでるけど、中には男だっているよな!?こいつ…、良く見りゃ可愛いし、その…胸もあるし…、本当に大丈夫なのかよ…。

「…まあ、やってみりゃいいんじゃねえの?」
「…ありがとう!ヒュウくん!有名になったら、絶対見に来てね!」

……。いつからこうやって、女になったんだろうな?オマエ。初めはなよなよしてたっつーか、頼りない感じだったのにいつの間にか、眩しい笑顔を向けるようになってきた。

「ヒュウくん、せっかくだから、乗ろうよ!観覧車!」

日が傾いてきた。観覧車から見る景色は、悪くないと思う。でも、何だろうな?こいつが…、かなこが、遠い存在になっちまう気がして、オレの胸は苦しくなる。

「…っ!?ヒュウくん…?」
「少し…、黙ってろッ!」

隙間がなくなるくらいまで強く抱きしめた。驚いて顔を上げるかなこ。苦しいよ…そうやって見上げる顔はもう…、オレの知ってるこいつじゃねえ。

「…んっ…」

初めて触れた唇。思ってたよりずっと…、柔らかかった。真っ赤になるかなこにつられて、オレまで赤くなる。

「い…っ、今のは事故っつーか、その…、オマエがいけないんだからなッ!」
「…え?どうして?ヒュウくんも、あたしの事、好きでいてくれたと思ってたのに…」

今度は泣き出す。…ったく、面倒くさいな。無理やり観覧車に乗せて、機嫌を取るか。

「わあ…!あたし、初めて乗ったの!ねえ、ヒュウ…くん……?」
「かなこ…」

男は危険な生き物だな、密室にいたら余計な気持ちが生まれてくる。本音の本音は言わねえけど…、これくらい、いいだろ…?

「オマエの事好きだから…、キスさせろよ」
「……、うん……」

オレとかなこがそう言う関係になるのは、きっとまだ先の話だ。けど、こいつが誰かのモノになっちまう前に、オレが……。


bkm
prev next
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -