「よお!かなこ。元気してるか!」
リーグに入れば。勢いよくカゲツさんが声をかけてくる。よっぽど暇なのかな?そう思ったけど、そうでもないみたい。
「カゲツさんも元気そうですね!ダイゴさんはチャンピオンルームですか?」
そう聞くとなぜかカゲツさんは、段々と距離を詰めてくる。
「…なっ、何ですか!」
「…いや?かなこ、ダイゴはどうだ?上手いか…?」
…っ!壁際に追い詰められて、逃げられない…!なおも私の身体をジロジロと見てくる。
「や…っ、やめてください恥ずかしい…!」
「オレにしとけよ?言ったろ?上手いって…」
「…何しているんだ、カゲツ!」
…っ!その声に振り返るとやはりダイゴさん…。あからさまにホッとすると、この状況を見て、不機嫌。
「…もう!どうしてかなこちゃんにはこうやって、男が寄って来るんだろう…」
「…た、たまたまですから!今までモテた事なんてありませんし!」
するとははっ!と私たちのやり取りを聞いていたカゲツさんが言う。
「ダイゴ、もう少しかなこを自由にしてやれよ。とって喰われるわけじゃねえんだからよ」
「…。かなこちゃん、こっちに」
半ば無理やりに手を引かれる。何か…いつもこうだな。私が悪いのかな?そんなふうにも思えてきた。
「ダイゴさん、あの…」
部屋に入るなりパッと手を離してくれる。その表情はいつもと変わらず笑顔だけど。
「警戒心がないって、思ってたりします…?」
わからない、私には…。他人ならまだしも、知っている人たちを疑うのも?とか思ったり。
「…いや。ボクが悪かったよ…でもねかなこちゃん」
そう言うなりぎゅっと両手を握られる。本当に…、私の事を想ってくれているのがわかる。
「ボクは怖いんだ…きっと。かなこちゃんが、別の男に盗られてしまうんじゃないかってね…」
…。胸が締めつけられる…。決まってる、私には、ダイゴさん以外に、そんな風になりたい人なんていない。
「…そんな事、絶対にありませんよ?だから、安心して…っ!」
重なる熱は少しだけ…強引だったけど、それでも、離れたくないのは、この人__そう、ダイゴさんだから…。