「ボクはきみに恥をかかせる事はしないよ。それにねかなこちゃん…ボクは迷惑だなんて思った事は、1度もないよ」
…。その言葉に何だかすごく、大切にされてる気がして。ダイゴさんは否定してたけど、やっぱり本当はすごくスマートな人なんだと思う。お金は全て出してくれて(コガネのゲームセンターの分も後で返ってきた)、予約から何から手配は完璧。危ないところでなければレディファーストは外さない。それに…きちんとおつき合いしてから、そういう関係になったワケだし……。
「ありがとう…ダイゴさん」
そう言うと一番大好きな笑顔。こんな時くらい、甘えてもいいよね…?温かい気持ちになって、そっと寄り添いあった。
帰りの飛行機の中で。急にかかってきた電話で散々シロナにからかわれた後、隣で眠る彼女を見つめる。その顔にはまだあどけなさはあるけど…、どこか、大人びて見える気がした。
「かなこちゃん…」
ボクが手なずけたから?…そうじゃない、これはたぶん、彼女自身に何か変化があったからじゃないかと思う。ボクは、決して伝えるのは上手い方じゃない、だから態度で示すしか方法がないんだ。けど…伝えなければわからない事も多くて、かなこちゃんを苦しめてしまっていたんだと思う。
「ダイゴさん……」
寝言でもボクの名前を呼んでくれるなんて、嬉しいよ…。これからは、なるべく言葉で伝える努力をしよう。
「愛してる…かなこちゃん」
そっと頬に落とした口づけでもなお、起きない彼女を愛おしいと思いながら帰路についた。
「ん…」
あれ…?寝てたみたい…?パッと起き上がると、窓に寄りかかって寝ているダイゴさん。操縦士さんにもう少しで着きますよ、そう言われて、ぼんやりと遠くを見つめていた。
「あ…」
そういえば、夢の中でも、ダイゴさんが出てきたっけ。二人で、よくわからないけど花畑で追いかけっこしてて…。今日、本当はソノオタウンに行く予定だったからかな?でも、夢の中でも会えるなんて私…幸せすぎるよ。
「かなこちゃん…?」
綺麗な瞳が開かれる。大きくて…、澄んだ水色をしてる。その目が三日月になるくらいニッコリと笑うと、そろそろ着くね…とスーツのシワを伸ばしてる。
「ダイゴさん、そんなにシワ寄ってませんよ?」
「…?そうかい?何だか気になるんだ…いつも」
よくわからないこだわりはいつもの事だな。シンオウ地方にはまた改めて時間を取って行こう、そう約束して2日間の旅を終えた。