初めて気づいた
ヒロイン:XY主人公


「カルムくん、待った?」

今日も決まった時間に彼女__かなこはやってくる。そういうところは律儀と言うか…、まあ、嫌いじゃないけど。

「キミのいいところを探し、この敗北を糧とするよ」

勝負はまたオレの負け。幾ら強くしたってかなこには勝てない。…悔しいけど。

「お隣さん。良ければ、行きたいところがあるんだ」
「え?どこどこ!?もしかして、カルムくんとデート!?」

…おめでたいね、本当に。何でオレなんかに期待してるんだろ。とりあえずミアレシティに戻って、カフェで昼食をとる。

「…うん!これ、美味しい!」

…っ!こんな顔もするんだ、かなこ。今まで、ライバルとしてしか見てなかったけど、綺麗な顔してるし…。

「カルムくん…?食べないの…?」
「…ちょうど今、食べようと思ってたところだよ」

お隣さん、なんて他人行儀に呼んでたから、気づかなかった…。どうりでティエルノとトロバがあんな目線を送っている訳だ。

「…で?どこに連れてってくれるの?」

期待に満ち溢れた目に断りきれなくて…、オレはあの場所に彼女を案内した。

「……どうしてここに?」
「きみは確か…、プラターヌ博士に呼ばれてここへ来たんだよな」
「うん……」

それから、黙って日時計を見つめる。日が完全に落ちると少し…、冷え込む気がした。

「…っ、寒くなってきたね」
「…ほら」
「え……?」

驚いた顔でオレの方を見るかなこ。何でだろうな…、胸がざわついた。

「こうすれば…、温かいだろ」

ただ、手を繋いだだけ。胸の鼓動がうるさいのは、きっと気のせい。

「…ありがとう、カルムくん」

照れ隠しに繋いだ手をポケットに仕舞い込んでオレたちは、カロスの街に消えていった。


bkm
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