「…痛いよ、ダイゴさん…」
「力抜いて…?かなこちゃん…」
私たちは今、ベッド…ではなく、アルフの遺跡という、ジョウト地方では有名な、石好きが集まる…じゃなかった、観光地、という事で、キキョウシティから歩いてやってきた。早速、遺跡研究所にお邪魔して、化石を探したいんですけど、と頼む。
「でもねここは、研究所だからね…。ポケモンの技でも使えば、すぐ壊れると思うけどなあ」
そう言われたので、仕方なく私のグラエナを連れてこよう…と思ったら。
「…かなこちゃん、来て?」
「…?」
途端に妖しい笑みになるダイゴさんに不信感を持ちながらも、ここに来る途中に見つけた、岩が密集してる辺りに行く。
「…ほら。ボクがいつも持ち歩いている、探検セットなんだけど」
…はあ、そういう事か…。ようやく動きやすい服装で、って言われた意味がわかったよ…。
「本当は、もう1セット借りるつもりだったんですか?」
「うん…でも、仕方ないね。少し、見ていてくれるかな」
そう言うとダイゴさんは慣れた手つきで岩を砕いていく。ポケモンにやってもらった方が早いのに…と言うと、それじゃ自分で見つけた感が減るよ、とかへ理屈。
「難しくないから…ね?やってみて?」
そんなにワクワクした顔見せられたら……。断れないのを知っててすぐそうやって甘えてくる。…本当、ダイゴさんの豹変ぶり!!力加減がわからなくて、そーっと砕いてみても、思いっきり叩いてみても、上手くいかない。最初はニコニコして顔を覗き込んできたダイゴさんは、消えたかと思ったら…突如後ろから出現した。
「…こうやって、やるといいよ」
…えっ!?半ば抱きしめられる格好になり、身体が硬直する。掴まれた手は、優しい…というよりも少し…。
「…痛いよ、ダイゴさん…」
「力抜いて…?かなこちゃん…」
きっと緊張していた私を、リラックスさせるために、やってくれたんだ…よね? 結局彼の真意は不明。でも…いいもの見つけた!