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「何だかここに、ダイゴさんといるなんて、不思議…」

そう言うとそうだね、と手を繋いでくる。少しだけ海風を感じながら、最初の目的地であるキキョウシティに向かう。

「…ワタルさん…?」

突然のダイゴさんの言葉に。ちょっとだけウキウキしてしまった。もし、本当にワタルさんだったら…、嬉しいな。

「…こんなところで会うとはな、チャンピオン!」
「…観光です、ほら…」

振り返ったその彼はやっぱり、ポケモンリーグのチャンピオン、ワタルさんだった。一度だけ、リーグまで連れてってもらったときにお見かけした。強くて、その上ルックスも文句ないワタルさんは、私の憧れ。

「現ホウエンリーグチャンピオンの、かなこちゃん」
「かなこです、よろしくお願いします!」

ああ、こちらこそ。と言った彼は遠くからでも目立つらしい、黄色い声援が聞こえる。

「きみが…。そうか、なるほど。強そうだな」
「…えっ?本当ですか!?嬉しいな、憧れのワタルさんにそう言ってもらえるなんて!」

…。何だか、面白くない…。これはボクのワガママ!?かなこちゃんが他の男と話すたびに、ボクのかなこちゃんなのに、と思ってしまうんだ…カロスにいた頃から、いや…、もう少し前からだね…。ボクの様子に気づいたのかワタルさんが、キキョウシティに行くなら連れてってやるよ、とボクを促す。

「…どうも」
「いや?大した事じゃないさ。それよりかなこちゃん、今度、ポケモンリーグにも挑戦しなよ!きみとなら、いい勝負ができそうだからな!」
「…はい!もちろん!」

やっぱりワタルさん素敵…!近くで見てもカッコいい…!慌ててダイゴさんの方を見ると、何か不機嫌…!?かと思って見つめていたら、なに?って、いつもの顔で。

「この道をまっすぐ行けば、キキョウシティに着く」

おれはこっちに用があるから、と反対方向に行ってしまうワタルさん。二人してその姿を見送ると、キキョウシティに向かった。


bkm
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