「ふぅ…」
時刻は真夜中。そろそろ…寝なくちゃ、そう思って抱き枕用にメタグロスを出す。ああ…ひんやりして気持ちいい。少しウトウトしかけた時…遠くから聞こえるはずのない波音が、こっちに迫ってくる…!?神経を研ぎ澄まして待っていると。
「ん…?かなこちゃん…?」
そこには。滝を登ってきたかなこちゃんがいて。あれ…?怒っていたんだよね…?
「…ダイゴさん!!」
「…おっと、どうしたの?」
降りるなりボクに抱きついてきた。心なしか、泣きそうな顔している…何か、あったの…?ぎゅっと抱きしめてやると、段々落ち着いてきたようで、そっとボクから離れた。そして…、衝撃的な言葉を浴びせられた。
「ダイゴさん…私のために、我慢してるんですか……?」
…っ!!な…っ、何を言っているんだ(事実だけど…というのは置いておいて)…!?
「きゅ…急にどうしたんだい?何か、言われた…?」
そう聞くとかなこちゃんはコクン、と頷く。どうやらカゲツに変な事を吹き込まれたみたいだ。あいつ…余計な真似を…!
「だってカゲツさんが、“いつまでもお預け喰らわされたら、いなくなっちまうかもな?”とか言うから…」
「…ボクはそんな事言っていないよね?まあでも…あいつに手出されたワケじゃないなら…」
「…」
そう言うとなぜか黙ってしまったかなこちゃん。…え!?まさか、カゲツに何かされたの…!?それはさすがのボクも…冷静ではいられない……。
「…まさか、変な事されたの……?」
恐る恐るそう聞くと…、少し答えにくそうに、こう言ってきた。
「…カゲツさんに…、“だったらオレが練習台になってやるよ…”とか言われて……」
そう言うと真っ赤になって俯く。…ああもう!今すぐボクのモノにしてしまいたい…!!他のやつに盗られる前に……。
「…ねえ。かなこちゃん…ボクの事だけ、考えて……?」
無理やり唇を重ねる。また…突き飛ばされるかもしれない、でも、いくらカゲツでもそんな事…かなこちゃんに言うなんて許せない…!
「…んんっ!ダイゴさん…、助けて…」
力の抜けてしまったかなこちゃんをそっと抱きしめる。いつもより激しくしてしまったから…辛かったかな。
「…帰ろう?そして…旅に、出ない?」
この提案が、またしてもボクを苦しめる事になるとは…きみを抱ける日は来るのかな?