すごそうないし
「これは…!」

かなこちゃんがここ__デボンに来たのは、偶然なんかじゃないね…。

二人で旅する時間が終わりを告げようとしている時、彼女はあの石を持っていた。とっさにボクは…、前に同じように旅をしているという、ダンスを見せてくれた男の子に似たような石を渡した事を思い出した。あの時は、向こうで見つけたものだったし、彼の役に立てれば…と意識はしていなかったけど、よく見たら、メガストーンかもしれない…そう…、思ったんだ。もしかしたらあの一件以来、不思議なものがこのホウエンに飛んできていても不思議じゃないからね…。おやじに呼び出され、かなこちゃんとはどうなんだ、と問い詰められ(上手く回避したつもり…だったけど)ている時にちょうど、かなこちゃんが来てしまった。ハッ!!と驚くボクたちとは対照的に満面の笑みを浮かべるおやじ…。こいつ…知っていたな…!途端に憎たらしくなったけど、かなこちゃんが何か用事がありそうだったから…、どうしたんだい?と聞いてあげると。

「ほら、これ…。前に、拾った石なんですけど…ダイゴさん、お父さんに見せたら?って、言ってたじゃないですか」

そう言う彼女に笑顔を向けたけど、気になるのは…“お父さん”って…!!ダメだダイゴ、落ち着け…!何かその響きだけでボクは、嬉しくなってしまって……。後でもちろんおやじに冷やかされたけどね…。見せてみたまへ、とおやじは石を片手にどこかへ行ってしまう。そこでボクたちは、二人きりになった。

「…驚きました、まさかダイゴさんがいるとは…」

昨日の事を思い出しているんだろう…、どことなく顔が赤くなっている…ふふ。だからボクは、彼女をからかってみたくなった。

「うん…実は用事があって、ね。それよりかなこちゃん…昨日は言えなかったけど水着姿、魅力的だったよ」
「…えっ!?」

驚いたような、でも…どことなく不安なような、そんな顔。一体きみは…、いくつの顔を持っているの…?

「…そのままの意味。だからあまり…他の男に、見せてほしくないな」
「…え?それって…?」

ああ…そんな目を向けられたら…向こうにおやじがいるというのに…。少しして、軽くニヤけているおやじを横目に見ながら、かなこちゃんと結果を聞いた。

「ピジョットナイト…?」

わりと新しいものだな、とおやじは言う。もしかすると最近、発見されたのか…?ボクにもまだまだ、調べる事がありそうだ。真剣に石を見ているボクを見て、ふふ、と笑うかなこちゃん。どうせまた石の事ですよね?と言われるに決まっている。

「かなこちゃん…ピジョットは捕まえたのかい?」

そう聞くといいえ、と言う。でも…と言葉を区切ると、

「ピジョンなら、カロスにいる時に育てたので…進化させればいいのかな、と」

そうか、ボクの知らない間にも彼女は、こんなにも成長していたんだね…。外を見ると少し、日が傾いてきた。だから、遅くならないうちに…とボクは提案した。

「かなこちゃん、送るよ。女の子が夜に一人で歩く事になるのは少し…心配だから…」
「…いや、かなこちゃんには泊まってもらえばいいだろう!どうせ客間は空いているから…な?ダイゴ」

…。またくだらない事を考えているな…。かなこちゃんの方も、悪いですよ!と必死に断っている…けど。

「では、お言葉に甘えて…」

…!?どんな手を使ったんだおやじ…!!というワケで、ボクはおやじの策略にハマり、彼女に告白する事になる……。


bkm
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