21
「…っ!!どうしよう!」

視界がハッキリしたけど辺りには誰もいない。ダイゴさん…。必死になって辺りを捜し回る。きっと向こうも捜してる…そう思いながらもなかなか出会えない。諦めかけていたその時。

「…どこ行っていたのかなこちゃん!」

見知った顔を、一番安心できる顔を見つけた途端。身体に、力が、入らなくなった…。

「ダイゴさん…私もう…ダメ、かも…」
「…かなこ!!」

その瞬間、私は意識を手放した__


「ん…」

目が覚めた。ふと横を見ると、私の大好きな…ダイゴさん…。


「…かなこ!!」


ボクが飲み物を買ってくる、と彼女の元を離れた瞬間。それはほんの一瞬だったけれど…、まるでホワイトアウトのような現象が起きた。ボクはすぐに近くの民家で温かい飲み物をわけてもらう事にした。

「申し訳ないですが…、温かい飲み物をわけてもらえないでしょうか?連れが、風邪を引いてしまったようで…」

そう言うと家主はふむ、とホットミルクをわけてくれた。それを片手に、彼女が待っているであろう、風車の前に行くと。

「…っ、かなこちゃんがいない…!?」

ボクは焦った…、まさかいなくなってしまったのか…!?きっとこの一瞬で、パニックになったに違いない…!!慌てて遠くを見渡すと、ポケモンセンターの近くをキョロキョロしている彼女を発見した。

「…どこ行っていたのかなこちゃん!」

ボクはできるだけ大きな声で彼女の名前を呼んだ。すると気づいた彼女が、こちらに来ようとしたんだけど…。

「…かなこ!!」

その華奢な身体がグラリ、と弧を描いて揺れた。慌てて彼女に駆け寄り、サッと身体を抱き上げると、熱を帯びているようで、熱かった。ボクがもっと早く気づいてあげられていたら…。そのまま急いでポケモンセンターへ飛び込んだ。

「…急患です!!お願いします!!」

息も切れ切れ。…でも何とか伝わったようだ。彼女は別室へ連れていかれた。着替え諸々が終わったようで…、ボクも案内された。


bkm
prev next
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -