「…さん?ダイゴさん!!」
__ッ!!その声に後ろを振り返ると、この状況が理解できていないような、何とも言えない表情を浮かべているかなこちゃん。…やってしまった、手を離してやると、何とか誤魔化しの言葉を探す。
「うん、何ていうか…あの人、ちょっと怪しそうな感じだったしその…、かなこちゃん、困っているみたいだったから…」
本当は嫉妬していた…なんて大人げないからね…。
会計してるから、気づいてないと思ったのに…嬉しいな。
互いの思っている事は違っていたけど、会話は成り立つ。
「…はい、実は何て言えばわからなくて…。嬉しいけど、やっぱり怖いし…みたいな」
「うん…警戒心はあった方がいいよ。じゃあ、気を取り直して行こうか」
「はいっ!」
先へ進む。途中にあった、ヤバそうなホテルはすっ飛ばして、次の街へと足を踏み入れる。すると途端に、身震いがした。
「…雪…!!」
来る前に何となく、涼しいかもとは思っていたけど、こんな近くの距離で、こうも気温が違うなんて…。
「ここは、標高が高いんだな…きっと」
それはちらつく程度だったけど…、確実に場違いな服を着ている私たちにとっては、心地よいものではなかった。ボクもリサーチ不足だったな…と少し落ち込むダイゴさんが何だか可愛くて…、ちょっとだけ、歩きませんか?と提案する。うん…とどこか考え込んでいたけど、少しだけ…だからねと歩き出してくれる。大きな風車が見えるところまで来ると、
「温かい飲み物でも探してくるよ…待ってて」
そう言ってダイゴさんは消えていった。その瞬間、強い風が吹いて…、一瞬前が見えなくなったんだ__