ボクはスマートじゃないよ
“ボクは……スマートなんかじゃないよ
いつだって……壊れそうなくらいにきみを想っている”


…あの時。かなこちゃんが夜中に目覚めて、ボクの髪をそっと撫でてきた時。実はボクも物音で目が覚めていてね…早く寝ないかなって、思っていたんだけど。あろう事か…、かなこちゃんは無防備にもボクに近づいてきた。起きている状況をわかってもらおうと、そのか細い手首を強く掴んでみたら…謝るだけ。しかも終いには、

「…でも、ダイゴさんはスマートな人だし…そんな事はない、ですよね」

なんて事を言う。…何言っているの。ボクだって、立派な男だよ…?下心がないワケ…ないんだけど……な…。

「ボクがスマート…だったらいいのにね」

前半の呟きは、彼女には聞こえていなかったらしい。でも…無理やり手を出せないところからして、ボクは相当彼女に惚れているんだと自覚した。フフ…と自嘲気味に笑う。眠れなくなるほど激しくなる鼓動を、深呼吸して抑え込んだ。

…恋は苦手だ。何でか知らないけれどみんな…、上手くつき合っているな…って思う。こんなにも誰かの事を考えたことはない。今までは、ボクの肩書き目当てで寄ってくる人ばかりで、それ以上でもそれ以下でもなかったからね…。ミクリみたいに、上手くなんてやれないよ。そっと目を閉じて、願うように眠りに就く。この想いが…通じるといいな…そんな事を。


bkm
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