「わざわざ送ってもらっちゃって、ありがとうございます」
そう言うとおうよ、と手を挙げて帰ろうとする。
「また、会いに来ますね!アオギリさん」
「…ああ、待ってるぜ。…それとなかなこ」
「え…?」
「もしまたアジトに来る事があったらよォ…」
“オレの女になんねえか?”
「…っ、もう!」
真っ赤になった私を見て、ふはは、冗談だぜ?という。全く…、アクア団は愉快な人たちの集まり__ね。
「ありがとうございましたー!アオギリさーん!」
ラティアスに乗りながらお礼を言うと、思いっきり手を振ってくれた。
「…ふう」
最後に。あの人に…、お礼を言わなきゃ。そう思ったのに、リーグに聞いても、どこか行っちまった、ってカゲツさんに言われただけ。仕方ないからまず、ミクリさんにお礼を言おう、そう思って訪ねたら。
「…置いてきぼりにされたのかい?ダイゴに」
「…え!?どうして…、ダイゴさん…なんですか?」
「…フフ。いや…こちらの話だよ。気になるんだろう?ダイゴの事が」
…ミクリさん、鋭いというか、何というか…。
「…わかんないです。でも今は、知りたいです、どこにいるか。お礼を、言いたいので…」
そう言うとそれもそうか、と納得してくれた。
「実は少し前にはなるんだけれど、ダイゴに連絡した時、この辺りではないところにいる気がしてね…。それに噂というか、小耳に挟んだ情報もあったから、遠くなのは間違いないだろう」
ただし…とつけ加えると、そこがどこかはわかってない、と言う。
「…まあ、ダイゴの事だ、珍しい石についてでも調べているんだろう」
…っ!そうか、石…!
「…ミクリさん、ありがとうございました!このお礼は、帰ってきたらします!」
帰ってきたら、うん…この時は、ただ単純に、ダイゴさんに会えたらいいな、そんな意味合いだった。だからねまさかあの旅で…、彼の事を好きになってしまうだなんて、思ってもみなかったの……。