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「へえ…!」

街の雰囲気に感動している私に、その帽子はここで買ったんだ、と言うダイゴさん。そろそろ服もネタ切れで、新しいものが欲しかったし、なら…とお店の中に入った。店内に入るとあら、と微笑む店員さん。どうやら、ダイゴさんを接客した人らしい。何やら二人で話し込んでるのを見ると…チクッと胸が痛んだり。

「…かなこちゃん、これなんか、きみに似合うと思うよ?」

…いつの間に話終わってたんだろう。気づけばダイゴさんがいくつか服を持って隣に来ていた。え?と聞き返せば、お姉さんにきみに似合う服を相談していたんだ、と返ってくる。__ずるい。本当に何度も何度もそう思ってしまう。

「ちょっと、着てみますね!」

妙にテンションがあがってしまって、軽くスキップしながら私は試着室へ入った。

「…これ!これなんかどうですか?ダイゴさん!!」
「…っ!!」

何着か着てるのを見させてもらったけど…これは…、予想以上だね…。あまりにも似合いすぎて言葉が出てこない。かなこちゃんがボクの様子を見て、少しガッカリしている。そうじゃない、何て言えばいいか…。

「…すごく、似合っているよ、かなこちゃん」

結局当たり前の事しか言えない。でもそんなボクの反応に…、少しは喜んでいるようだ。その後先ほどのお姉さんがべた褒めしていたから…、即決でこの一番似合うワンピースをプレゼントする事にしたんだ。

「…まだかなあ、ダイゴさん」

お会計をしてくれているダイゴさんを待ちながら…ふふ!自分のいる国では絶対に買わないような、個性的なワンピース。だけど…自分でも何だか、新たなコーディネートができるかも!と満足していたら。

「…失礼。貴女のその服…とても似合ってるネ!」
「え…?」

突然、見知らぬ男に声をかけられた。警戒する素振りを見せると怪しい人じゃないネ!と必死に否定する。どうやら素人モデルのスカウトをしているらしく、ぜひうちのファッションショーに出ないか、って。

「あ、あの…」

そんな事言ってもらえて、嬉しいけど…ちょっと怖い。何て言えばいいかわからず、立ち尽くしていると。

「…この子はファッションショーには出ませんから」

そう言うと行くよ、かなこちゃん。と、ぐいぐい私の手を引いて店外へ出る。ダイゴさん…?いつもと違う様子の彼に、少しだけ恐怖を覚えた。


bkm
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