「…でもねかなこちゃん、こういう事するのは、あまり感心しないな」
「ごめんなさい…、ダイゴさん」
「…いや、女の子に見境ない男もいるから、気をつけた方がいいと思って…」
…ああ、そういう事か。彼女はなるほど、わかってくれたようだ。
「…でも、ダイゴさんはスマートな人だし…そんな事はない、ですよね」
笑顔でそう言う彼女に…、またしてもボクの胸は締めつけられた。
「…だったらいいのにね」
「…え?何ですか?」
ダイゴさんが何か言っていたけど、声が小さくてよく聞こえなかった。聞き返しても、何でもないよ、そうはぐらかされてしまう。
あんな事しておいて…、かなこちゃんはすぐに眠りについたみたいだけど。またしても眠れない夜を迎える。落ち着け…ダイゴ。自分で自分にそう言い聞かせると、いつの間にか、夢の中へと引きずり込まれていた。
朝を迎えても何となく身体がだるい気がしたけど、今日もダイゴさんとの1日が始まると思うと、ウキウキが止まらなかった。それほどまでに…気になっちゃってる…。少し歩くと、いきなり立ち止まるダイゴさん。どう…したんですか?と聞くと、
「怖い家…があるんだけど、寄っていくかい?」
…っ!!ミアレシティでの出来事を思い出して、思わずダイゴさんの腕にすがった。クスクスと笑うと、ダイゴさんはごめんごめん、とまた茶目っ気のある顔で。
「…でも、こうやってくっついてくれるなら、行ってみたいけどね」
…っ!!!!またしてもこの人は…!!そうやって恥ずかしい事をサラッと言ってのける。きっとみんな…、この天然女たらしに惑わされるんだろうな、そう思った。
「もちろん行きませんからね!ほら、こっちですよねダイゴさん!」
すたすたと行ってしまう彼女…本当、憎たらしくなるくらい可愛い…よね。早く来てくださいよー!と元気にはしゃぐかなこちゃんの様子に笑みを零すと、急いでそっちへ向かった。