「よし、かなこちゃん。競争しようよ」
「え?競争ですか!?」
てっきり、一緒に乗るんだと思っていたから、ちょっぴり残念がる。するとそれを見越していたかのようにこの人はまた言う。
「それとも…一緒に乗りたかった?」
「…!!競争しましょう!!あっちの地方ではできないですし!」
「じゃあ…やるからには負けないから!」
「私もです!!」
よし、気合い十分!絶対にダイゴさんに負けないんだから…!!
「きゃー!待ってちょっと…!」
「あはは!かなこちゃん、大丈夫かい?」
「大丈夫に決まってます…!!」
はあ、はあと二人して肩で息してる。牧場内のベンチに座って、水を飲む。いい歳して何やっているんだボクは…と言うダイゴさんはやはり嬉しそうで。
「…結局、負けちゃいましたからね…」
「フフフ、ポケモンに乗るのは、ボクの方が得意みたいだね」
またしても意味深に笑ってる。それだけですごくカッコいい。…やっぱり、ずるい。
「…じゃあ、負けたきみには何をしてもらおうか」
「マッサージ…、とかですか?」
どんな事でもダイゴさんのためになるなら…と思ったけど、ダメだったかな。
「うん…たまにはそれもいいかもね。きみに触れられる感じもなかなか…」
「…何かそれ、妖しい意味に聞こえるんですけど…」
ふふ、と笑うと、そう捉えたのならそれで構わないよ、ってまたしてもこの人には敵わない。私が赤くなるの…、わかってるくせに。
「そろそろ、行こうか。隣町まで行けば、ホテルがあるから」
暗くならないうちに、とダイゴさんの提案で歩き始める。途中に広がるアズール湾の海は夕陽が反射して…、とても綺麗だった。ヒヨクシティに入り、シーサイドを抜けると、ようやくホテルにたどり着いた。夕飯を食べて、ちょっと歩こうか、とシーサイドに行く。波の音が心地よくて…つい瞼を閉じた。