「アオギリさーん!」
大きな声で部屋に入ると。あれ…?みんなお揃い……?初めに気づいたウシオさんが、
「オウホウ!オレの愛したテメェじゃねえカ!」
って言ってくる。
「どうも、ウシオさん…。相変わらず、元気ですね」
「テメェのおかげで、アニィもアクア団も、更にパワーアップできそうダゼ!カンシャ!カンゲキ!アリガトヨォ!」
握手を求められて、まあ相変わらずカタコトだけど、元のウシオさんに戻ってよかった…そう、思った。続いて、イズミさんに声をかける。
「あらあら、まあまあ。よく来たわね」
「イズミさん、お久しぶりです」
「アンタのおかげで、アタシらアクア団も、新しい一歩を踏み出すことができそうよ。改めて礼を言うわ、あんがとね」
イズミさんもまた…、以前のような、激しい強さはなく、穏やかで、より一層美しい女性になった、そんな感じがした。
「アオギリ、さん」
「ガキンチョ…いや、かなこちゃんじゃねえか」
「…かなこちゃん…!?」
その呼び方に違和感を覚えた私は、呼び捨てでいいです!と必死に否定した。
「…なら、かなこだな。久しぶりじゃねえか」
「アオギリさん、あの…、これ」
アオギリさんにキーストーンと、サメハダナイトを渡す。そう言うとキーストーンは受け取ってくれたけど。
「サメハダナイト、なんだけどよ。実は2個持っちまっててなァ、困ってたんだ。だからそれはかなこにくれてやるぜ」
…ふふ。本当ですか?と聞くとほらよ、と実物を見せてくれる。
「じゃあ…、ありがたく頂戴します」
「オウ…それよりかなこ」
「はい、何でしょう」
「遠慮しなくていいぜ、何にもよ。せっかく来たんだ、好きなようにくつろいでいってくれや」
その言葉に少しだけ、ゆっくりさせてもらった。イズミさんが茶でも飲んでいきなよ、と気前よくしてくれる。
「オウホウ!もう、帰るのカ!」
そろそろおいとましよう…、そう思ったら、ウシオさんに呼び止められた。
「そうだよあんた!もうちょいゆっくりしていきな!」
イズミさんも好意的な反応をしてくれた。だから、私はこう言う。
「こっちに来たときはまた、ここに顔を出しますね!待っててください!」
笑顔で出ていこうとすると出口まで送るぜ、とアオギリさん。イズミさんがちょっと不思議な顔をしていたけど、アオギリさんはわざとらしく肩を抱いて行こうぜ、と言う。
「…えっ!?あ、アオギリさん!?」
「細けえこたァ、気にすんな。行くぜ?かなこ」
「は、はあ…」
ワケのわからぬまま、アオギリさんと外まで一緒にいく。