キーストーンとアオギリさん
「…ミツルくん、はい、これ!」
「…かなこさん、ありがとうございます!」

ユウキくんと二人でシシコ座流星群を見に行った次の日。完全に平和が戻ったホウエンを、私は再び旅し始めていた。

“やっと、全てを終わらせることができたよ
本当にありがとう
一度終わった話を、もう一度始められるのか考えてみようと思ってます
それじゃね ヒガナ”

流星の滝に遊びに行って。ヒガナにお礼が言いたくて、姿を消した彼女を、捜しに行ったんだけど。

「ヒガナなら、旅立ってしまっての」

すまぬな、というおばあさんから預かった、ヒガナからの手紙。本当に短い文章だったけど、少しでも肩の荷が降りたなら…そう思った。一度終わった話、というのが気になったけどね…。ユウキくんにはママから、ミツルくんには直接、キーストーンをお返しした。…そして今。私は、アクア団アジトの前にいる。中に入ると見張りの三人が、出迎えてくれた。

「ようやく、アクア団の再スタートが切れたんだぜ!」
「これから何をしようかしら…時間はたくさんあるんだし、ゆっくり考えていけばいいわよね」
「イチからやり直すってのは、正直面倒くさいし、シンドイがよ。それでもみんなでえいやってやりゃ、何とかなるんじゃねえかって、そう思わせてくれる場所なんだ、おれにとってのアクア団ってのは」

相変わらず個性的だったけど…、まあ、いいか。そしてアオギリさんの元へと向かう。私が来る数時間前に、こんな話をしていたという…。


「………」
「アニィ……。………ゴメン」
「………」
「アオギリ……。ウシオのヤツも、反省してるみたいだし……」
「……許さねえ」
「うっ……アウゥゥ……アニィ……」
「絶対に許さねえぞっ!」
「ちょっとアオギリ……」
「オレは許さねぇっ!……オレ自身をだ!」
「エ!?」
「テメェの部下をそこまで追い込んじまうなんざ…。リーダー失格だ…、オレは…。本当に…、すまなかった、ウシオよ……」
「……ウ…あう……あうぅ……あ…アニィ……」
「……オレも改めて、イチから出直すつもりだ。カイオーガの一件、そして今回の一件…。テメェたちだけの考えで、閉じてちゃ何も始まらねえ。アクアだ、マグマだ、ポケモンだ、人間だ。どっちかひとつを決める必要もねぇ。面倒でも恐ろしくても、自分の知らねぇ場所に踏み出し、色んなヤツらと交わっていく…。それがこれから目指していきたい、アクア団のカタチなんだ。……オマエも、ついてきてくれねぇか?ウシオよォ」
「……オウッホウ!あ…モチのロン…ダゼッ……!」
「全く…。ヤロウ二人が顔ぐしゃぐしゃにしながら、何やってんだか…。…ま、悪くないけどね」


bkm
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