Trrrr…
「ん…?」
電話の音で目が覚める。今…、真夜中だけどな…?ディスプレイを確認して、相手が誰だかわかると、とりあえず切ってみる。けど、相手は相当暇なようだ…またしても懲りずに電話をかけてくる。
「…どうした?ちょっと今、手が放せな…『嘘だな、ダイゴ』
…っ。きみが仕事をしているわけないだろう、と電話の主__ミクリは言う。
『見なくて、良かったのかい?シシコ座流星群』
「…何でボクが。いや、興味ないワケじゃないよ?もちろん」
そう言うときみの興味は珍しい石だからね、と笑う。本音を言えばボクだって、シシコ座流星群を見たかった…子供の時の記憶も、曖昧だからな…。けどねボクには、自分の人生において、ただの御曹司じゃなくて、知らなければならない事が、たくさんあると思っているから。それに…。彼女を越える存在でありたいから、今彼女には会えない。
『…まさかダイゴ、このまま、彼女を忘れるつもりかい…?』
…っ!?ボクがずっと黙っていたから、わざとそんな事を…!?
「…どうしてそれを!」
慌ててそう言うとははは、とまるでわかっていたかのように言う。
『いやねダイゴ、きみの様子を観察していて、かなこちゃんに興味を持っているのは、トレーナーとしてだけじゃない…そう思ったからさ』
「…」
わかっているよ…そう感じたのは、嘘じゃない。先日もそんな素振りを見せてしまったから…。でもあの時は、彼女の身を案じたまで、だけど。
「それも含めて、考えてみるよ…会社の事もあるし、ボク自身の事も…」
そして、そう漏らしたのが全ての失敗、いや…、成功だったのかもしれないな…。ボクはただ…、怖かったんだと思う。彼女よりも無知で、度胸がなくて、そんなボクを彼女が受け入れてくれるかどうかが。それを後押ししてくれた彼__ミクリに本当に、感謝しなきゃいけないね…。