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「エーッ!何それ、超気になる!じゃあさ、どんな女がタイプなわけ?」
「……タイプですか」

お酒の勢いもあってか、ソニアの圧がどんどん強くなってきてて、困ってるようにも見えた。とゆうか、みんなそれなりの量飲んでるけど、顔色ひとつ変えないなんてバケモノなの?

「…おれがダメなヤツだから、しっかりしてる方がいいんじゃねえですか」
「なるほどねー、妹もしっかりしてるもんね!わかるわかる」
「こんなにネズが真面目に答えてんのは珍しいよな」

キバナさんが耳打ちしてきた。頻度こそ高くはないけど、仲良し3人で飲みに行くこともまあまああるみたいで。その時はいつも早く酔っ払う、なんて言うけどそれって、あたしたちに気を遣って飲む量をセーブしてるってこと?だったら、申し訳ないよ…。

「ネズ、イッキ飲みは身体に良くないぜ」

いい感じに酔いが回ってきたところで、今日のところはお開きになった。こういう席にいると、やっぱり自分はまだまだ大人には程遠いのかも、なんて思う。酔って楽しそうに話す輪の中に入っていくのは…、容易いことではないから。

「……退屈でしたか」

それに、セーブしてるのかも、なんて心配も無用だったね。結局飲みすぎたネズさんは、酔いを覚ましてくると言ったきり戻ってこなかった。ポケモンセンターに泊まれ、そうダンデさんは提案してくれたけど、そらとぶタクシーを呼べないほど深夜でもない。辺りをぐるぐるしていると、どこからともなく現れた人に、声をかけられた。

「へ…?ネズさん……?」

うっすら赤くなっていた頬は元の色白に戻ってる。ちょっと時間が経てば落ち着くものなんだ?酔っぱらいなんて嫌いだったし、面倒だと思ってたのに今は、飲める人たちがうらやましい。…だから気づいたら、ネズさんの服の裾を掴んでいた。

「……あたしも、飲みたいです、お酒」
「バカ言うんじゃないですよ、きみはまだ子供でしょう」

そう言われるのなんて想定済み。勢いのままわーわー伝えたら、観念したらしくわざとらしい笑みを浮かべてこう言うんだ。

「酔ったらおれが介抱してやりますよ」
「……お、お願いします!」

この時のあたしにはわからなかったんだ、この言葉が本当はどういう意味を持つのか、そして…、二人のこんなやり取りを見ていた人がいたことも。


bkm
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