ヒロイン:剣盾の女の子(彼目線)
___かなこさん。彼女は若くしてチャンピオンになって、今日も変わらずファンに夢を届けている。
「おはよう!オニオンくん」
かわいい人。ジムチャレンジャーとしてラテラルスタジアムに現れたかなこさんに対するボクの第一印象はただ、それだけだった。いざ戦ってみるとその実力はボクの想像以上で…、強さと優しさを同時に持っている人。それはあの無敵のチャンピオンにも匹敵するくらい。そう思ってたけど、こんなに簡単に飛び越えちゃうなんて、やっぱり……。
「すごいよ、かなこさん」
「うん?どうしたの?急に」
ダンデさんが企画したガラルスタートーナメントは大盛況で、これからもずっと開催されることが決まった。タッグはどの人とも組むことができて、いつもオファーが殺到しているかなこさんは、ボクから見たら眩しい人。遠い世界の人。……だけど。
「ボ、ボクがパートナーで、本当によかったんですか……?」
勇気を出して声をかけた。ボクなんかが近づいていい人じゃないのはわかってるんだ……でも、もっとかなこさんの側にいたい。これはわがままなの……?
「もちろん!よろしくね、オニオンくん」
いつもはみんなのもの。だけど、今この瞬間だけは、ボクのためだけに笑ってくれている…それがすごく嬉しくて、仮面越しに笑顔を返した。
「かなこさん!ゆっ、優勝だって……!や、やったね……!」
ボクはほとんどサポートしかできなかったけど。それでもかなこさんは、二人の優勝だねって喜んでくれた。こんなボクをパートナーに選んでくれて、そして優勝に導いてくれた。ゴーストポケモンと一緒に暗くて、寒くて冷たいところにいるのが当たり前になっていたボクに。かなこさんが、光を灯してくれたんだ。
「………ありがとう」
夢を見ているのかもしれない。でも、覚めない夢だったとしたら、また何度でも見たい。この気持ちをまだ言葉に表すことはできないけど…、かなこさんにはできたらずっと、ボクとだけ組んでほしい。そう、思ってしまうんだ。