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「………っ、」

明かりの消えた部屋の中。あたしはひとり、息を殺しながら辺りの様子を伺っている。早く帰りたい……でも、恐怖がそうはさせてくれない。

「ストーカー?」
「のようなもの、です…正確に言えば」

ふたりの勝負を見届けてから1週間。周りではジムチャレンジに向けての準備が着々と進んでる頃のこと。平和だった毎日に、暗雲が立ち込めるような出来事が、起きたんだ。

「それは何か、心当たりがあるということか?」

いつものようにバトルタワーでダンデさんと勝負をして、談笑する。でも、あたしにはどうしても…、聞いてほしい話があったから。仮眠室にふたりきりのタイミングでこっそり、相談することにしたんだけど。

「はい…歩いてると誰かにつけられてるような気配を感じたり、昨日はシャッター音みたいなものが聞こえて……」
「それは心配だ。リーグスタッフに警備を強化するよう頼んでみるぜ」

基本は物怖じしないし、夜のワイルドエリアだって全然平気。でも、さすがに今回のことは…。1回だけなら気にならないけど、2日続けてこんなことが起きるなんて、普通じゃない。

「しばらくは、夜の外出は控えろ。もし必要なら、オレが送り迎えをするが」
「……えっ!まさか、そこまでしてもらうわけには……」

ガラルの安全のため、リーグスタッフが定期的な見回りをしているとチャンピオンになった時にダンデさんから聞いた。けど、人数もエリアも限られるから、必ずしも安心とは言えない…だから、こんな提案をくれたんだと思うけど。送り迎えなんて、何だか……。

「?別にオレは構わないぜ?最近はここに籠りっきりで身体も鈍ってきた気がするからな。鍛えるのにちょうどいいぜ」

頼りがいがあるけど、時々方向性がよくわからない…でもそこが、ダンデさんのいいところだから黙っておく。怖いのは怖いけど、過度に警戒するとかえって危ないかも…2人の結論は最終的にそこにいきついて、しばらく様子を見ることにした。


bkm
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