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「オレ……さ」
「うん」
「その……好き、みたいなんだぞ、かなこのこと」
「………そっか。何かあったんだろ?そう思うきっかけがよ」

キバナよ落ち着け、冷静になりやがれ。あれだけかわいいんだから、ライバルがいたって当然だろ?最も…、向こうは全くもって意識してる気配はないけどな。

「オレ、毎日勉強してて外に出ることは少ないんだ。 けど、そんなオレを見兼ねてなのか、かなこが時々差し入れをくれてさ…」
「で?」
「旅してる時は気づかなかったんだ、けど、笑った顔が、太陽みたいに眩しくて……」
「なるほど?かわいいなあって思っちまったわけだ」
「それだけならいいんだぞ!けどこないだ、顔を近づけられた時、唇にばっか目がいって……」

変態だよな?なんて聞くホップは初だ。そんなことでいちいち悩むなよな?オレだってキスしてえよ、できることなら。だが、こう見えても真面目だからな。それに、いろいろすっ飛ばしてできるほど、軽い気持ちじゃねえし。

「したいんだろー?かなこと。な?」
「そ、そんなんじゃないんだぞ…!それからずっとかなこのことが気になるからたぶん、これは好きってことなんだなって……」

ふうん。これが思春期とかいうやつか。オレさまいつだったかなー?こいつがライバルにもなりかねないってのに、不思議とかわいく見えてきたぜ。

「なあ、ホップ。オレさまとオトナのレッスンしようぜ」
「きゅ、急に何だよ…」
「アニキには言えねえんだろ?だったら、ここで勉強してけって」

ここからは徹夜コースか?散々ホップをからかい通したが、真っ赤になりながらも真剣に見てるところはやっぱ男だな。だが、かなこに変なことすんじゃねえぞ?

「す、するわけないんだぞ…!」
「当然だ。つき合ってもないのに、いきなり襲ったらそれは犯罪だ」
「わかってるぞ!でも、キバナさんも好きだよな?かなこのこと」

そうだ、忘れてた。こいつ、意外に勘が鋭いんだよな。不意討ちを喰らったオレの表情を見逃さなかったらしいホップは、オレを挑発してきやがる。

「知ってるぞ、キバナさん。試合してる時いつも、かなこのこと見てたもんな。けど、オレは諦めないぞ」
「わかったようなことを。まあ、オレさまだって手加減してやらねえよ?後から大人げないとか言うなよな、絶対」

固い握手を交わした。こういうのは勝ち負けじゃねえけど、誰かに譲ってたまるかよ。例えそれがあいつのライバルであり、親友のホップだとしてもな。


bkm
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