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「キミが客席で見ているんだと思うと、自然とやる気がみなぎったぜ。オレは公式の場でキミを倒すことはできないが、次のバトルは覚悟してくれよ」

用事があるというキバナさんを見送ってダンデさんとあたしは、客席から無人のコートを眺めていた。こんなに最強のトレーナーに何で勝てたんだろう…未だにそう思ってる。チラッと横顔を見ようとしたら、なぜだかばっちり目が合った。

「へ?見てた…んですか?」

何聞いてるの、かなこ。こんな質問されたら、困っちゃうでしょ、ダンデさんが。

「ああ…見てたぜ。キミのこと」
「え……」

どゆ、意味…?バトル以外でダンデさんのこんな真剣な顔、初めて見た…。でももしかしたら、挑発、そんな視線なのかもしれない。次は絶対に自分が勝つ…そういう自信に溢れた、眼差しなのかも。

「遅くならないうちに帰れ。オレは、まだやることがあるから残るが」
「は、はい。今度のジムチャレンジもあたし、絶対に勝ちます。勝ちたいんです…!」
「その意気だ。オレのように、長い間勝ち続けろ。チャンピオンは孤独だ…だが、皆の希望でもあるんだぜ。素晴らしい職業だろう」

そう言ってダンデさんは、笑った。その笑顔には一点の曇りもない。あたしに負けたからって一切悲観せず、次に勝つためのチャンスを伺ってる。何度も同じ言葉しか出てこないけどやっぱりすごい…そして、そんなダンデさんとずっと対等に戦ってきたキバナさんも、間違いなくすごい人だ。そんな人たちと切磋琢磨できるこの環境を、もっと喜ばなきゃ。


bkm
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