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「ほら、始まるぜ」

マリィも合流して、3人で最高の時間を過ごした。ネズさんの歌声と曲の雰囲気の相性はぴったりだし、何より歌詞がスッと胸に入ってくる。こんなに誰かのことを思う日が来たらいいな、なんて思うくらいにすごく…、素敵だった。もしかしてネズさん、リアルな人を思い浮かべて書いたのかな。

「気に入ったと?アニキのライブ」
「うん!もう、すっごく!」
「最高だったぜって伝えといてくれよ」
「キバナさんは寄らんの?楽屋」
「ん?ああ、オレさまには野暮用があるからな」

またな、そう言って爽やかに去っていくキバナさん。大人ってかっこいい…!ふとそんな風に思った。あんな余裕、あたしにも欲しいな。

「どうでした?おれのライブは」
「もう、最高すぎましたよ!ネズさんにあんなに思われてる女の人は、きっと幸せですね!」
「……だといいですがね」

ネズさんは、あれだけ歌ってたのに全く疲れを見せなかった。ダメなヤツ、なんて言ってたけど、あたしたちのサポートをかって出てくれたし、ちゃんといい人だと思う。だからこそ、あんな素敵な歌詞が書けるんだろうから。

「また、気が向いたら来てください」
「えっ、いいんですか!絶対聴きにきます!」

そう言うと笑顔をくれた。CDももらったし、試合後に高ぶった気持ちを落ち着かせるために聴こうかな。ウキウキな気分でスパイクタウンを後にすると、マリィから電話がかかってきた。

「どしたの?マリィ」
『アニキ。あんたが来て本当に嬉しかったけん、そう言ってたばい』
「そ、そんな!大袈裟だよ!」
『大袈裟と違うよ。どう?アニキは、恋愛対象としていけそう?』

突然のマリィの発言にスマホロトムを飛ばしそうになった。今はタクシーの中!なくしたら大変なことになっちゃう。

「とゆうか、ネズさんがあたしのことなんてあり得ないでしょ。ファンもたくさんついてるんだから」
『ちょっと考えといて。じゃあね、おやすみ』

一方的だなぁ、マリィ。文句はいろいろ言うけど実はアニキ思い。そこがいいところだけど、それとこれとは話が別だよ。簡単に好き、とか言えるものじゃないと思うし…それとも、大人って身近にいる女の子なら、誰でもいいとかあるのかな?うーん、難しい!恋って。


bkm
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