「ふう…遅くなってしまったな」
色々と悩んでいたら、思いの外時間が経っていた。慌ててエアームドに乗ってミアレシティに飛び、軽くフラダリカフェを見回り、ポケモンセンターに到着する。…けどどうやら彼女はまだ来ていないようだ。
「…こんな時間まで、どこに行っているんだ…?」
まさか…、何かに巻き込まれた……?急に不安になってボクは、かなこちゃんを捜しに行く事にした。
「…あれ?どこ?ここ」
私…はというと、案の定道に迷ってしまって、近くの雑居ビルに入って今の場所を確認していた。受付の女性は、田舎から出てきたばかりであまり詳しくないらしく、上の階に行ってみると、突然明かりが消え、後ろに気配がしたと思ったら……。
「あなたは違う……」
…えっ!?!?私の横をすり抜けて行った人…は、どこかで見覚えが…?そ、それより、よく考えて…?私の乗ったエレベーターには、誰もいなかったよね…?それとあの動き………。
「いやぁぁぁぁ___!!」
慌てて下に降りて、ビルを出る。み…っ、見ちゃった私…!!その瞬間__見知った顔が現れたからつい…、抱きついちゃったんだ…。
「…ダイゴさん!!」
「え…っ!!」
突然ぎゅっと抱きついてきたもんだから…、さすがのダイゴさんもどうしたものかとあたふたしている。とりあえずあやすように背中をトントンと叩いてもらうと、少しずつ落ち着いてきたのがわかる。
「…落ち着いたかい?ホテル…、行こうか」
「うん…」
そっと私の手を引くダイゴさんの仕草はやはり紳士で…、少しだけ、怖い気持ちが和らいだ。
「…ダイゴさん…」
「何だい?かなこちゃん」
「あの…」
私は、先ほどの出来事を一通り話した。ダイゴさんは特には何も言わず、相槌を打ってくれていたけど、終いには忘れなよ、それだけ。
「…ね?何も考えなくていいよ。とりあえず…風呂でも入ってきなよ?」
「どこへも……行かない…ですよね…?」
きゅっと眉をひそめて怖がるかなこちゃん。それが、どうしてか新鮮で…少しからかってみたくなる。…だから。
「…なら、一緒に入ろうか」
「え…っ!!」
ぶんぶんと首を振るかなこちゃん。…全く、溜息つきたくなるくらい可愛くて…どうしようもなくなりそうだ。とりあえずボクはここにいるから、そう伝えると恐る恐る入っていく。