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「かなこ!元気だったか?」

久しぶりにホップがトーナメントに顔を出してくれた。明日はダンデさんとのチャンピオンマッチだから、かなりいい腕試しになって、ふたりして近くのカフェで話し込んだ。ガラルに越してきた時はほとんど人と話せなかったのが…、ホップのおかげでこうして社交的になれたんだから、ほんと感謝しかない。

「ありがとう、ホップ」
「ん?何がだ?」
「ううん?なんでもない」
「?変なかなこ」

こうしてると、もしかしたらカップルに見えるのかな?あたしたち。もし目の前にいるのがダンデさんでも、そう、見える……。

「かなこ……?」
「へっ?なに?」
「顔、近いぞ……」

あたしが見つめてたのはダンデさん…じゃなくて目の前のホップだった。もしかして…、無意識のうちに妄想してた!?それから何事もなかったかのように運ばれてきたスイーツを食べて、ブラッシータウン駅まで戻る。

「ホップにかなこ。いい勝負だったね!」
「サンキューだぞ!ソニア。明日、かなことアニキ、どっちを応援するんだ?」
「やっぱり…ここは、ダンデくんかな。たまには、かなこが負けるところも見たいし」
「ソニア!何それ!あたし負けないよ!」
「安心していいぞ、かなこ!オレは絶対にかなこが勝つって信じてるぞ!」

そこはアニキを応援するって言えばいいのに、でもホップらしい。家までの帰り道、何も言葉を交わさなくても心地よい…長年の相棒みたいだ。

「……わ!」
「み、見てないんだぞ……!」

どっちが先にハロンタウンに着くか、また競争して帰る。一緒にスタートしたらあたしの方が不利だからハンデをもらったけど。突然強い風が吹いて、スカートが捲れ上がった。ホップはそう言ってくれたけどたぶん…見られた、と、思う。

「ありがとう、ホップ」
「お、お礼を言われる事、してないんだぞ…」

でも。ホップが照れてるのか耳を赤くしてるのを見たら、あたしが恥ずかしいのと同じくらいなのかなって思えて。結局同時に到着したあたしたちは、それぞれの家に帰っていった。


bkm
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